残雪期に↑長次郎谷↓平蔵谷で剣岳に登ったが、その二つの谷に挟まれた尾根が源次郎尾根。 バリエーション入門と言われるが、北鎌尾根や北方稜線との違いは、30mの懸垂下降があるためロープが必須なこと。 源次郎に行ってみたいと思い、懸垂下降の練習をして何度か計画を立てたが、タイミングが悪くて行けず仕舞い。 先月には前日に流行り病にかかってしまい、同行予定だった人たちのレポを指を咥えて見ていた。 そんな状況で9月の連休にどうかとMさんからお誘いいただき、今度こそと出かけることに。 行程は、初日立山からアルペンルートで室堂~劔沢でテント泊、 二日目 劔沢から源次郎尾根で剣岳、別山尾根で下山し劔沢でもう一泊。 三日目 雷鳥沢経由でみくりが池温泉に入ってから室堂にという、比較的ゆったり計画。 連休の混雑を避けるため金曜から予定を、結局天気に合わせて土~月の連休ど真ん中にすることにしたが、これが大正解。
幸い、下から見えた大きな岩まで出ると踏み跡はしっかりして、前半の樹林はルーファイはさほど難しくなかった。でも、山頂まではず~っと急で、気楽に歩ける所はほとんどない。 北鎌に比べると体力的には各段に楽だが、最低限必要な岩の登攀力は上だと思う。 北鎌は自分で登れるところをある程度選ぶことが出来るのに対し、源次郎はルートの自由性が少ない。 序盤に二か所ほど越えずに先には進めない、一般ハイカーには難しい登攀があった。
多分、第一の核心と言われるところ。 先行者さんが登るのを見て、とりあえずフリーでトライしてみる。 昨日の雨で岩が濡れていたこともあり最初難しいと思ったが、左手でかなりしっかり掴めるガバが見つかり、あ、これ登れると。
その後は掴んだ手や置いた足が安定してることを確認しつつ登り、無事クリア。 斜度が緩くなるところまで登って、下を見るとちょっと渋滞してる。
しかし、実はここで一番慌てたのは、この後。 後続のためにお助けスリングを降ろすことになったが、クライミングは🔰で、お助けなどしたことがない。 持ってる120cmスリングが届くところに体重を支えられそうな枝やハーケンも見当たらない。 きょろきょろしてると上の方に保護色で分かりにくい残置ロープがあることにようやく気が付いた。 引っ張ってみるとちょっと伸びるがある程度体重賭けても切れる感じではない、でも難しい所には全然届かない。 下のわっかにカラビナでスリングを付けて垂らしたら、なんとか届いてほっ。 この辺は、経験のなさが顕著に出る。
ルートは、ジャングルの中のアスレティック状態。 枝や岩を掴んで、よじ登っていく。
そして、第二の核心。 ハーケンが幾つかあり、スリングであぶみを作るのが定番らしい。 とりあえず一回フリーで探ってみて、危なそうならその辺利用しようとトライ。 この先行者さんがいる所まで、最初の1-2mを登るのが難しい。 リーチを生かしてなんとかそこまでよじ登ると、上の方は比較的持つところがあって少し斜度も緩くなる。 あ、これ行ける再び。 レポを幾つか見たが、クライマーさんは特に難しい所はないと書かれてることも多いが、小柄な人や普段クライミングをやってない人は苦労する可能性が高いのがこの二箇所だと思う。
核心までは前後が繋がっていたが、終わった頃にはほどよく間隔が開いた。 その後もこんな所の連続だが、二か所以外はバリエーションに来るような人は問題なく行けるだろう。 適度な緊張感で、楽しい。
行く先に、急な岩場を登っている先行者が見える。
樹林を抜けてからは、比較的足場もある。 ここも、急だが階段状で難しくはない。
スラブ状の所も、登ってみれば見た目ほどではなかった。
取りつきから山頂まで、後ろの人のヘルメットと背中が見える斜度の連続だが、
背後には絶景が広がる
2峰には、一旦ぐっと下って登り返す。
鞍部まで降りて、1峰を振り返る。 横はキレてるし、高度感はあるが凄く難しいというほどではない。
後続のご夫婦とは、何度もお会いしてお話も。
2峰だと気が付かなくて進むと、見覚えのある支点が。 懸垂ポイントだと気が付き、緊張する。
先を見ると、切れ落ちてる。 下に、先行の方たちがロープ撤収して先に進むのが見えた。 晴れた連休にここで待ち時間なしなのは、ラッキー。 でも、待ったなし。
こちらからだと左に新しい支点もあったが、旧支点の方がまっすぐ降りられるそうで、こちらを使用。 ここはクライミングされてるお二人にお任せして、セルフを取って後学のために見学。 ありがとうございます~!
60mロープだったので、下まで降りられて楽だった。 50mでも、下のテラスに降りて後はクライムダウンで行けるらしい。
源次郎尾根。
無事源次郎尾根を踏破。 祠横の写真スポットから、ひょっこり。 お邪魔して、すみません。今回のパーティ三人で、記念撮影。 数えてみたら、無雪期に別山尾根二回、早月尾根1回、北方稜線1回、初冬の早月尾根1回、残雪の長次郎谷2回登ってて、今回で8回目だった。 好きなんです、劒岳。
念願の、源次郎尾根からの剣岳。 真っ青な空の下で、岩峰を楽しみながら越えることが出来ました。 源次郎尾根からの素晴らしい眺望、紅葉の室堂平、オコジョや雷鳥、美味しいビールと食事、、、最高でした!