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Channel: 丹沢最高峰 蛭ケ岳1673回超えを目指して 
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ゆっくりめで40分ほど走ります。5分走ったら、もう疲れちゃって

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河村尚子
 河村尚子には、たびたびインタビューで話を聞いているが、そのつど大きな自信が感じられる。
 今日は、次号の「intoxicate」のインタビューで、新譜「ショパン:バラード リスト:ピアノ・トランスクリブションズ」(ソニー)の話を聞きにレコード会社に出かけた。
 実は、この録音前に、一度バラードについては話を聞いている。それゆえ今回は、実際にレコーディングを行ったときの様子と、バラードについて、また、ショパン、シューベルト、ワーグナーの歌曲のリスト編曲版について、いろいろと話してもらった。
 彼女は、デビュー当時から一貫して自分というものをしっかりもっている。それが実に自然体で、凛としていて、いわゆるぶれない。
 その地にしっかり足を着けた姿勢が音楽にリアルに現れ、いまやチェコ・フィルへのデビューで、指揮者のイルジー・ピエロフラーヴェクに絶賛される力量をもつピアニストとなった。
 この10月に行われたチェコ・フィルのデビュー公演は、ゲネプロと本番3回というスケジュールだったそうで、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が演奏された。
 プラハのルドルフィヌム(旧芸術家の家)で行われ、耳の肥えた聴衆から大喝采を受け、スタンディング・オヴェイションとなった。
 このライヴは2014年にリリースされる予定だという。
 この11月3日には、ミューザ川崎シンフォニーホールで、来日しているチェコ・フィルのソリストとして同作品を演奏する。
「伊熊さん、聴きにきてくれますか」 
 こう聞かれたが、即座に「ごめんなさい。いまはいかれないの」と断腸の思いでお断りした。
 なにしろ、ウィーンとベルリンの出張の記事が目の前に山となっている。これに集中しないとならないからだ。
 というわけで、帰宅してから必死になって原稿と取り組み、なんとか4ページ分だけ入稿した。
 ああ、なんと時間がかかることか。
 でも、ひとつひとつこなしていくしかないのだから、集中して取り組まなければ…。
 今日の写真は、インタビュー後の河村尚子。おだやかで自然体で、どこかどっしりした感じがするのは、毎日ジョギングをしているということが影響しているのだろうか。
「ゆっくりめで40分ほど走ります。筋力がつきましたよ」
 そうか、私も運動したいな。引っ越してから、近くのスポーツジムにきれいなプールがあることを発見。そこに通いたいけど、まだまだ時間に余裕がない。
 もう今日から11月、ホント、早いものだ。毎日が疾風怒濤のように過ぎていく。さて、もうひとふんばりして、テープ起こしをしようかな。

萩原麻未
 昨年11月、スイスのジュネーヴ国際コンクールのピアノ部門で日本人として初優勝を果たした萩原麻未は、とてもユニークな性格の持ち主である。
 もちろん音楽に関して、コンクールに関して、自身のこれまでの歩みに関しては、ゆったりとした口調で真摯に答えてくれるが、そこかしこにえもいわれぬ不思議な雰囲気がただよっているのである。
 それが何かは、こんな会話で判明した。
「私、すごく運動が苦手で、特に球技がダメなんです。バドミントンをすると羽とラケットの位置関係がつかめない。バレーやドッジボールはボールがどこに飛んでいくのかわかっていない。バスケットでは走りながらドリブルをしてといわれても、ただドリブルしているだけ。同時に走っていくことはできない」
 もう、これを聞いて爆笑してしまった。
 彼女の演奏は、本能で弾いていると思える自然さと情感の豊かさ、情熱的で野性的ですらある、ある種の動物的なカンの鋭さを感じさせるものだが、それが大の運動オンチとは…。
 それを話すときの表情もまた真面目だから、こちらが大笑いするのもはばかれたが、私のバカ笑いにつられてか、一緒にケラケラ笑い出した。
 このときのインタビューは、本日の日経新聞の夕刊に掲載されている。もちろん、ここでは経歴やパリ留学で師事しているジャック・ルヴィエ先生のレッスンについて、また、コンクールのときのエピソードなど、真面目な内容で綴っている。
 萩原麻未は、正直な人でもある。その率直さが音楽に表れている。昔は古典派の作品が苦手で、あまり演奏しなかったが、やはりそれらの大切さを痛感し、最近ではハイドン、モーツァルトを演奏するようになったそうだ。
もっとも得意なのはドビュッシーのプレリュードと、ラヴェルのピアノ協奏曲。これから弾きたいのはシューベルトのピアノ・ソナタ。そしてラフマニノフのチェロ・ソナタ。
「私は自分の演奏を客観的に聴くということができていませんでした。バリでルヴィエ先生の初めてのレッスンを受けたとき、それを指摘されました。もっと第3者として聴くことができるような演奏をといわれたのですが、最初はまったくそれを理解することができませんでした」
 彼女は昔から自由に、自分の気持ちの赴くまま演奏してきた。ピアノを弾くことが大好きで、ひとりで弾いて楽しんでいた。
 だが、ルヴィエにいわれ、演奏を見直すようになる。
「先生は精神統一のために、自分を見つめ直すために、ヨガを勧めてくださったのですが、ここでも3日坊主で、すぐにやめてしまいました。私、結構飽きっぽいんです。特に運動は続きませんね。それでは、と考えてジョギングしてみたんですが、またまた1日でダメ。だって、5分走ったら、もう疲れちゃって。泳ぎですか。うーん、幼稚園のころは少しは泳げたんですけど、小学校のときは5メートルで、もうおぼれそうになって(笑)」
 なんというおかしさ。これは文にするとあまりおかしくないかもしれないが、彼女がゆったりとしたテンポで大真面目な顔で話すと、私は自然に笑いがこみあげてくる。
 こんな人間的な味わいを持った若手ピアニスト、久しぶりに会った感じだ。そのピアノが聴き手の心をつかんで離さないのは、本能で生き、本音で語り、心の感じるままに演奏するからではないだろうか。
 ちなみに、コンクールの優勝が決まった直後のインタビューが日本のテレビで紹介され、そのときはなんだか夢見心地のような、あいまいな答えをしている姿が映し出され、周囲から非難ごうごうだったそうだが、これは本人いわく「それまで眠れなかったので、すごく眠くて、何を聞かれているのかわからなかった」のだそうだ。なるほどね。私もあれを見て、「はて、この人は時差ボケなのかな」と思ったほどだったが、真実は寝不足だったのね。
 今後は、まず室内楽とコンチェルトを中心に活動をスタートし、ゆっくりマイペースで進んでいくという。ぜひ、自由で情熱的な演奏、ナマで聴いてみて。

川久保賜紀&江口玲
 最近、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲を演奏するヴァイオリニストが増えている。
 今日は、川久保賜紀がピアノの江口玲と組んで行う「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会」の第1回を聴きにフィリアホールに出かけた。
 ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは、ピアノが主体ともいうべき作品で、デュオを組むピアニストが非常に重要なウエイトを占める。
 川久保賜紀は、多くのヴァイオリニストとの共演で知られる江口玲をパートナーに選び、両者はみずみずしい音色と前進するエネルギーに満ちた躍動感あふれるベートーヴェンを披露した。
 プログラムは古典的な曲想のなかにベートーヴェンが得意とする変奏曲を盛り込んだ第1番からスタート。次いで多分に地味な作品と見られるが、ベートーヴェンならではのユニークな曲想が全編にあふれる第4番が登場。
 後半は川久保賜紀の息の長いフレーズと流麗な響きが存分に生かされる第5番「春」が明るく豊かな歌心をもって奏され、最後はヴァイオリンとピアノの音の対話が非常に充実している第3番が高らかに演奏された。
 なお、第2回は2015年4月25日(第6番〜第8番)、第3回は2016年4月(第2番、第9番「クロイツェル」、第10番)という予定が組まれている。
 川久保賜紀の演奏は、2002年のチャイコフスキー国際コンクールで最高位入賞を遂げた直後から聴き続けているが、当初から聴き手にゆったりと静かに語りかける音楽が印象的だった。
 この公演プログラムにも原稿を寄せたが、そうした彼女の美質が徐々に変容を遂げ、ベルリンを拠点に各地で演奏し、さまざまな室内楽も経験することにより、演奏に深みが増してきた。
 今日のベートーヴェンも、いまの心身の充実が反映し、説得力のあるベートーヴェンとなっていた。
 江口玲のピアノの雄弁さも特筆すべきだ。今日の楽器は、1887年に製作されたニューヨーク・スタインウェイだそうで、フォルテピアノのような響きをもち、古雅な雰囲気を醸し出し、えもいわれぬ繊細さと気品が感じられた。
 その歴史を映し出すような音色が川久保賜紀の1779年製ジョヴァンニ・バティスタ・グァダニーニの芳醇で艶やかな音色と見事にマッチ。
 こういうデュオを聴いていると、作品が生まれた時代へと自然にいざなわれていくよう。
 18世紀後半の弦楽器と19世紀後半の鍵盤楽器によるベートーヴェンの演奏は、当時のサロンをほうふつとさせる。
 フィリアホールはとても親密的な雰囲気をたたえた会場ゆえ、ヴァイオリンとピアノがとても身近に感じられ、音のひとつひとつが明確に聴こえ、すべての音がストレートに響いてくる。
 国際舞台で活躍するふたりの演奏は、続く2回の演奏に大いに期待をいだかせるものだった。
 今日の写真は、終演後のふたりのリラックスした表情。今後、ふたりでレコーディングをする予定もあるそうだ。今回、聴き逃した人は、ぜひ次回のデュオを聴いてくださいな。次回は作品30の3曲ですよ、お楽しみに!!






 音楽面で見ると、フランス作品には豊かな色彩が感じられます。それらを学ぶときに絵を見ることは欠かせません。それは印象派ばかりではなく、さまざまな時代の絵がその時代の音楽に少なからず影響を受けているからです。
 よくドビュッシーの作品は色彩と関連づけて論じられますが、フォーレもプーランクもサティもパーソナリティは違いますが、そこにはある共通した色が存在していると思います」
―ラヴェルにはそうした色の共通性はないとお考えですか。
「ラヴェルは特別な色をもっています。音全体がクリアで透明感に満ちている。明確さと正確さが2大要素だと思います。これらフランス作品はよくもやもやした霞がかかったような絵と同じようにいわれますが、私はもっとクリアな響きをもっている音楽だと考えています。
 たとえばモネの《ルーアン大聖堂》を思い出してください。あの絵は全体的に淡い色彩で光もけっして強くない。でも、輪郭はしっかり描かれている。ラインがはっきりしているでしょう。多くのフランス音楽もこのようにラインは明確に表現されなくてはならないんです。そこに繊細さと特有の色を加えなくてはならない。これが一番難しいところですね。
 ただし、プーランクとサティは印象派ではなく、キュービズムの影響を受けていると思います。これらの各作品の表現の違いにはペダルが重要なキーとなります。ペダルで音に微妙な変化をつけていくわけです」


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