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4号機建屋燃料プールは広島原発5000発分

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昨年三月の事故時、4号機は定期検査中で、
原子炉建屋五階の燃料プールには使用済み燃料783体、原子炉から取り出した燃料548体、
未使用の燃料204体の計1535体が入っていた。
政府と東電は廃炉に向けた中長期計画で、2013年にこれらの燃料の取り出しを始める計画を公表している。
事故で4号機のプールを冷却する機能は失われ、建屋は水素爆発し、プールはむき出し状態になった。
保管中の燃料が露出したが、外部からの注水によって水位は保たれたとされている。





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水野:
今日はまず福島第一原発4号機について教えていただきたいと思います。
小出先生はずっと以前からこの4号機の使用済み燃料プールについて警告を発してこられました。
最近そうした報道がですね、ようやくいろんなメディアでなされるようになってきたかと思うんですね。
もしも大きな余震があればプールが崩れる恐れがあり、
そうしますと大変大きな被害になるという事をおっしゃってきたわけですが、
この4号機のプールにつきましてね、今度東京電力が新しい方向性を打ち出しました。
4号機の核燃料プールに保管してある燃料をですね、
2本というか、2体というんですか?
7月前後に試験的に取り出す方向で検討しているというんです。
このプールの中にまずあるのが、
使用済み核燃料とまだ使用していない核燃料、合わせて1535体。だそうです。
これはまず、どれぐらいの量だと思えばいいんですか?

小出:
1535体のうちまだ使っていない燃料体が204体。
すでに原子炉の中で燃やしてしまった使用済み燃料が1331体です。
その1331体の使用済み燃料の中には、セシウム137という放射性物質で比較すると
広島原爆の多分5000発分ほどの物が含まれています。

水野:
広島原爆の5000発分のセシウムですか
はい、5発ではなく5000発ですね。

小出:
そうです、これまで福島の事故で大気中に放出してしまったセシウム137の量は、
日本政府の報告によりと、168発分だというのですが、
4号機の使用済み燃料プールの中には5000発分まだあるのです。

残りの204体が未使用の燃料なんですが、
それはまだ使っていない、要するにウランの核分裂反応を起こしていないという燃料ですので、
放射能という意味ではかなり楽というか、ほとんど汚れが無いと思っていい燃料集合体です。

水野:あの・・まだ使っていない燃料棒もプールに保存しなきゃいけない必要があるんですか?

小出:本当はありません。

水野:たとえば空気中に普通に置いておいても大丈夫なんですか?

小出:はい大丈夫です。

水野:たとえば、私の家に置いておいても大丈夫なんですか?

小出:
えーっと、ただし、ウランという物そのものがもともと放射性物質で、
アルファー線も出しますし、ガンマ線も出します。
ですから、人が近づくことはもちろん好ましくはないわけですし、
空気中に出しておくよりは水の中に沈めておいた方が、まだいいだろうという事は言えると思います。

水野:でもどうして、こんなに204体も未使用の燃料棒がここにあるんですか?

小出:
もちろん原子力発電所というものは、使い終わった燃料は取り出さなければいけないし、
その分はまた新しい燃料を入れなければいけないのですね。
そのために燃料交換作業というのをやるのですが、
その作業をやるにあたっては、原子炉の中と、使用済み燃料プールというプールとを
同じ状態というか、同時にプールにしてしまって、そのプールの中で移動させているという、
そういう作業をするのです。

水野:あ、つまりずーっと水の中につけたまま、右にやり左にやりするっていうことですね。

小出:そうです

水野:あっ、空気中には出さないんですね。

小出:出さないんです。

水野:出したらどうなるんですか?

小出:
使用済み燃料を空気中に出してしまえば、
その周辺にいる人達は即死するぐらいの超危険物です。
で、未使用の物はそれほどのことはありませんけれども、
ま、入れておいた方がいいだろうし、どっちにしても移動させる訳ですから、
プールの中で移動させるという事がこれまでの手順になっていました。

水野:
今回の計画は、まずはまだ使っていない未使用の燃料棒を取り出して、
実験的に取り出して、その損傷具合を見て、
これからどういうふうにしていこうかと決めるんだそうなんですね。
これは簡単にできる事なんですか?

小出:
多分簡単にはできません。
一つの燃料集合体がたぶん200kgぐらいはあると思いますので、

水野:え・・・・・・

小出:
人間の手でも持ち上げられる訳ではありませんから、それなりのクレーンを使わないとまずは取り出せません。
しかしクレーンはすでに爆発で破壊されてしまっていますし、
今のところプールの底に沈んでいる燃料集合体も本当に健全なのかどうかもまだ分からないですので、
取り出すことにもなかなか困難が伴うだろうとおもいます。

水野:はぁ・・・

小出:
でもまあ、使用済みの燃料を取り出すという事に比べれば、遥かに危険の少ない作業ですので、
まずは「やってみたい」。
そして、1年以上、ま、なかなか過酷な環境にあったわけですね。
雨水もどんどん入っている訳ですし、たしか一時期海水も入れたと思いますし、
「燃料棒の表面がどんなふうに腐食しているか」とかですね、
その事もやはり知りたいわけですし、
どうしてもテストはしてみたいと思う筈だと思います。

水野:
こうしたテストをした後にですね、東電の計画によれば、
来年12月ごろ、本格的に燃料の取り出しを始めたいとしているんだそうです。
この計画についてはいかがでしょう?

小出:
一日でも早くやって欲しいと私は願いますが、
それが実現できるまでには、重さ100トンを超えるような、いわゆる輸送容器ですね。
それをプールの中に沈めたり、その中に使用済みの燃料棒を入れて、
またキャスクをつり上げるというような操作をしなければいけませんので、

水野:キャスクってなんですか?

小出:
金属製の容器なんですが、
使用済み燃料をその中に入れて、プールの底から引き揚げても、
周りの人々が、まあ何とか耐えられるというぐらいに放射線を遮蔽できる性能を持った容器なのです。
で、それをプールの底に沈めたりつり上げたりできなければいけませんので、
ものすごく大きなクレーンをですね、まずは設置できるようにしなければなりません。
そのためにはそのクレーンを支える巨大な建物をまず建てる必要がある。

水野:建物を建てなきゃいけない

小出:はい

水野:でもその土地って、がれきが・・・

小出:そうです

水野:あるんじゃないですか

小出:そうです
がれきが散乱していますし、今現在4号機の壊れた建屋を、
東京電力はどんどん、どんどん撤去しているのです。
オペレーションフロアーというところですね。
そこを今むき出しの状態にしているのですが、
その上にかぶせるような形で、新たに頑丈な建物をまず建てなければいけないのです。

水野え〜っ・・・

小出:
大変な作業ですし、がれきを片付けるにもまた被ばくの作業になりますし、
作業員の方々は大変だろうと思います。

水野:はぁ・・・先は長い話なんですね。

小出:そうです。

水野:
12月ごろ、来年12月ごろに本格的に燃料の取り出しを始めるという計画ですけれど、
使用済みの核燃料を取り出すというのは、
先程聞いた未使用の物とは全然違う訳ですよね。

小出:
もう、めちゃくちゃ違います。
空気中につり上げれば先程聞いていただいたように、周辺にいる人たちが即死するような危険物ですし、
作業中にそれをプールの中に落としたりして破損させた利すれば、
また放射性物質が中から噴き出してきてしまったりしますので、
もう、細心の注意を払ってやらなければいけませんし、
精密なクレーン、燃料交換機等を使ってやらなければいけないのです。

近藤:先生、ようするにその水を張ったプールというのは全ての原発のちかくにあるんですか?

小出:そうです。全ての原子力発電所には原子炉の隣にあります。

近藤:
そうすると、そこではまぁ活断層だの何だのが有ってとんでもない地震が起きたら、そのプールはどうなるんですか?

小出:
これまでは、プールの危険という事はあんまり考えられてこなかったのです。
何よりも原子炉そのものがものすごい危険をかかえているし、
たとえば運転中には沸騰水型の場合には約180気圧。
加圧水型と言われている関西電力が使っているヤツは140気圧もの圧力がかかっていて、
地震などでちいちゃな配管が破れてももう破局的な事故になってしまうと。
それに比べればまだ使用済み燃料プールの方は余裕があるだろうぐらいにしか思ってこなかったのです。
でも、今近藤さんが指摘して下さったように、
大きな地震が起きて、使用済み燃料プールの水が漏れてしまうというような事になれば、
やはり大変なことになります。

近藤:
4号機で、今入っているのが5000発って言いましたよね、
これ、全国の50基の近くにこういうものがあると仮定して考えた時にですよ、
日本そのものの存続にかかわるような話がね・・・
うーん、なんていうんだろう、
僕ら燃料プールっていう言葉だけで、そこから先の思考が無かったっていうのもとんでもない話ですね。

小出:
そうですね。
これまで、ま、昔から原子力発電所というのは「トイレのないマンション」だと言って、
放射能の始末はつけられないことはわかっていた訳です。
ただただ溜まってきたものを、ま、炉から出して使用済み燃料プールに移す。
あるいは、それも移したところでどうにもなりませんので、
国としては再処理をするという事を建て前にしていたわけですけれども、
再処理をしたところで消えるわけではない。

近藤:消えるわけじゃない。

小出:それで、いずれ何とかしなければいけないという課題を、先送り先送りしながらここまで来てしまいました。

近藤:
(ため息)・・・本当になんていうんだろう・・・
そんな事で、ええんかい?っていうような話だよね・・・

小出:はい

水野:その危機感を政府はどれだけ持っているんでしょう?ね、ハァ(ため息)

小出:
そうですね、まだ再稼働させると言っているのですから、
危機感は多分感じていないのだと思います。


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