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「絶対安全」だと洗脳教育  敗戦後におけるGHQの占領政策とその実相について

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1945年8月15日
 本土防衛を任務とする海軍厚木基地の302航空隊は太平洋戦争の後期・末期,小園司令のもと撃墜の戦果 120機(B-29が 80余機)といわれる。1945年8月15日正午,天皇陛下の詔勅がラジオから流れた直後,小園司令は隊員に向かって,つぎのように熱弁を振るったという。

 「降伏の勅命は,真の勅命ではない」
 「皇軍には必勝の信念があって,降伏の文字はない」
 「日本の軍隊は解体したものと認める。ここにわれわれは部隊の独立を宣言し徹底抗戦の火蓋を切る」
 「小園とともにあくまで戦わんとする者はとどまれ。しからざる者は自由に隊を離れて帰郷せよ。自分は必勝を信じて最後まで戦う」

 敗戦という出来事はこのように,海軍航空隊に軍紀違反,そして反乱を生じさせたのであるが,当時これを鎮圧する軍事力がもはや日本帝国海軍にも陸軍にもないほど混乱をきわめていた。

 2) 1945年8月16日以降
 小園司令は厚木航空部隊の独立宣言を,海軍の各部隊宛に緊急電報で発信,陸軍や国民に向けて檄文のビラも用意した。そのビラは以下のような檄を飛ばし,零戦(首都圏),月光(関東・東北),彩雲(中部),銀河(北海道・中国・四国)によって,各地に撒布されたという。

 「国民諸子に告ぐ」
 「神州不滅,終戦放送は偽勅,だまされるな。いまや敵撃滅の好機,われら厚木航空隊は健在なり。必勝国体を護持せん。勤皇護国」
 「皇軍なくして皇国の護持なし。国民諸君,皇軍厳として此処にあり。重臣の世迷言に迷わざることなく吾等と共に戦へ。之真の忠なり。之必勝なり」

米内光政画像 8月16日,米内(よない)光政海軍大臣が翻意をうながす意向を伝えるが,これを小園司令が拒絶し,説得工作も決裂した。小園はのちに軍法会議で「抗命罪」に問われることになる。
 出所)画像は米内光政,http://www.mfca.jp/senjin/yonai/index
 
 連合軍から,マッカーサーの厚木基地への進駐期限が通達され,裕仁天皇も軍人にあて隠忍自重の勅語を発する。米内海相は,横須賀鎮守府に厚木の断固強硬鎮圧を命じるが,寺岡謹平司令の猛反対を受けて,実行されなかった。
 
 8月20日,高松宮から「陛下の御心」を伝えられた菅原中佐・吉野少佐の2名は,抗戦態勢の終結を決意し,302航空隊の士官を説得に当たった。21日,小園司令は身柄を拘束され,海軍野比病院に監禁される。厚木基地では,納得ができない士官・下士官・兵たちが「降伏否定」の旗色を,いっそう鮮明にしていた。

 8月26日,アメリカ軍の先遣隊として輸送機 13機が厚木に着陸し,つづいて8月30日,連合軍最高司令官マッカーサー元帥が厚木に降り立つことになった。
厚木基地に降り立つマッカーサー
註記)1945年8月30日,厚木基地に到着したマッカーサー元帥。
まわりには,前掲に紹介した雑然たる風景が展開していたが,
この写真のアングルでは視界に入らないように撮影されていた。
 
 ③ 厚木基地の整理・始末とその後の日本

 海軍厚木基地の302航空隊が,連合軍の日本占領を妨害しようと滑走路上にぶちまけた航空機やその部品などを,この部隊がまだ居残るなかで「生命をかけて」片づける工事を請けおい,アメリカ軍の先遣隊の輸送機が到着する前日の午後4時から当日の午前8時までにかけて一気に実行したのが,安藤 明の「大安組」であった。
 註記)前掲,古川編,中山『昭和の快男児 日本を救った男 安藤 明』第1章「厚木事件」)。
篠田五郎口絵から
出所)この画像資料は「大安組」に出された
海軍の「感謝状」(昭和20年8月26日)。
篠田五郎『ニッポン秘録 万世に太平を開いた男』
財元舎,昭和51年,口絵。

 この厚木事件にさいして軍部の仕事を請け負ったのをきっかけして,以来,安藤は「天皇を護りきる」ことに人生を賭けることになったという。日本のため,天皇制を守るため莫大な私財を投げ打って,影で奔走したのが安藤であったというのである。

 1) GHQの占領政策
 安藤は,敗戦後の混乱を避けるためを思い,GHQ親日派将校たちとの太いパイプを作り,GHQ高官に天皇制の大切さを説いた。そして安藤の人脈と提案により,昭和20年9月27日「天皇・マッカーサー会見」が実現する。

 2) 昭和の鹿鳴館
 安藤は手もちの資材を投じて「大安クラブ」を作る。それは,GHQの将校だけを接待するために作られた高級クラブであった。

 3) その後の安藤 明
 しかし,日本が復興に向かうころ安藤の事業は辛酸を舐め,ついに病には勝てず 1962年他界する。奇しくもその日は17回目の「終戦」記念日であった。この厚木事件を扱った作品に,1967年に公開され映画:岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』がある。

 なかんずく,中山正男『昭和の快男児 日本を救った男 安藤 明』2003年は,安藤が敗戦直後の日本を救う役割,それも昭和天皇をマッカーサー会見させるために尽力した人物と描いている。さらに,GHQ将校に酒池肉林を提供する「大安クラブ」を設営して贅沢三昧に接待し,帰るときには高価な手土産ももたせていた。

 4) 問題の焦点:歴史の真実は?
 1)「マッカーサーと天皇会見」と 2)「GHQ将校接待」に関していえば,中山『昭和の快男児 日本を救った男安藤 明』の記述内容=主張点をそのまま真に受けて,全面的に支持する「歴史上の客観的な根拠」は与えられていない,というほかない。

 連合軍・GHQ側の規定方針あるいは意思形成に対して,いかほど安藤の動きが効果を発揮しえたかといえば,これを具体的に実証するに足る「必要かつ十分な資料や証言」が提供されているわけではない。

 昭和天皇がマッカーサーと会見できた事実に関して,安藤の根回し・働きかけ・画策がなんらかの一定の影響を与えたことは,たしかである。しかしまた,「大安クラブ」でGHQの将校を酒・肉〔と手土産〕によって接待し,一生懸命に懐柔しようとした安藤の努力が,戦後占領政策に,具体的にどのように関連しえ,また実際にどのくらいの効果を実際に挙げえていたかについては,そう簡単には評価のしようがない,敗戦後に関する「歴史の問題」である。

 しかし,敗戦後におけるGHQの占領政策とその実相については,日本政治史〔学〕からする学術的・専門的な研究業績があまた公表されている。確実にいえるのは,こちらの社会科学研究の対象からはこぼれていた安藤 明のような人物が,敗戦後の日本史のなかで,いかほどの役割を果たしえたのか具体的に究明されねばならない,ということである。

 中山『昭和の快男児 日本を救った男 安藤 明』は,「マッカーサーと昭和天皇の会見」に関して,佐藤栄作〔元首相〕に直接聞いた話だとして「安藤君ひとりの冒険的演出であった。これはながく歴史に残る大場面とみなければならない」と言明したという(112頁)。

 首相まで務めた人物がそうだと認める発言をしていた。とすれば,1945年9月27日に初めて「マッカーサーに会見した昭和天皇」にまで関連する「当時の政治的な情勢」をめぐっては,日本政治史において見逃された重大論点が存在していたと理解することが,いちがいに拒否されるわけにはいかない。
マッカーサーと昭和天皇鮮明版
 すなわち,マッカーサーと天皇が並んで立っている「あの有名な写真」が撮られ,昭和天皇の〈神性〉が瞬間的に揮発させられた出来事の実現を斡旋・仲介した人物が「安藤 明であった」というのである。この事実が本当に本当であったとすれば,この〈史実〉に専門分野の1人の研究者も気づかず,とりあげてさえこなかったという研究史が問題になるかもしれない。

古川圭吾と安藤眞吾から 中山は,佐藤栄作から聞いたとする話を「某日,佐藤栄作と面会する機会にめぐまれた」と語っていた(前掲,112頁)。だがこれでは,学問的に実証性=信憑性ある「歴史的な根拠」だという具合に,ただちに認定することはできない。このあたりに難点があるといわざるをえない。
( ⇐ 画面 クリックで 拡大・可)
 出所)左型画像資料のうち,上の安藤 明「像」は,古川圭吾編 復刻「ニッポン秘録」中山正男著『昭和の快男児 日本を救った男 安藤 明』(講談社出版サービスセンター,2003年)から,下の佐藤栄作「談」は,安藤眞吾『昭和天皇を守った男 安藤明伝』ルネッサンスブックス,2007年から。

 GHQ体制に対して「大安クラブ」が実際に発揮できたという〈なんらかの効果〉の認定,そしてその評価は,いままでのところ,これを現実的に感知したり推測したりする術がない。かといってそれをもって,日本の政治学の怠慢だとか,歴史の真実が放置されていただとか嘆いてよいのかどうかも,そう簡単には論断できないでいる。

 中山『昭和の快男児 日本を救った男安藤 明』を読むかぎり,この安藤という人物の個性が,以上のような解釈の余地を生むほかない軌跡を,敗戦後史になかに描いてきた,といえなくもない。いずれにせよ,戦後日本政治史,それもいままであまり脚光を浴びていなかった「その在野史の領域」にも,研究の関心を向ける必要があるといってよい。




もはや日本が原発を維持する事は不可能だとしるだろう。

それもかかわらず,安倍政権や官僚たち,そして電力会社が,原発再稼働にこだわっている。そのことが,いかに無責任であるかを思いいらされるだろう。

関口博之画像 約1名の解説委員〔これは関口博之のこと(右側画像)〕が原発政策を擁護するような発言をしていたが,その解説委員でさえも,原発は無理だと吐露せざるをえなかった。ここに出ていた解説委員たちは,いずれも各分野で活躍しているおなじみの解説委員たちだ。その知見には定評がある。よく勉強している。

 その彼らが,原発の危険性,原子力規制委員会と電力会社にすべてを押しのける政府や官僚の無責任さ,核燃料サイクルの破綻,プルトニウムの蓄積と潜在核保有国日本の孤立化,日米原子力協定とういう名の対米従属,などなど,およそわが国の原発政策に関するあらゆる矛盾を見事に浮き彫りにした。

 繰り返していう。この番組を観た国民は,およそまともな思考力をもった国民なら,皆,もはや日本が原発を維持することは無理だとしるだろう。この番組は安倍政権の原発政策に計りしれない影響を与えるだろう。NHKの解説委員たちに敬意を表わしたい。このような番組を作って放映したNHKは捨てたものではない。

朝まで生テレビ画像 同じ深夜の討論番組でも,田原総一朗の司会する与太番組「朝まで生テレビ」とは月とスッポンだ。願わくば,つぎは対米従属の根源である日米同盟の是非について論じてもらいたい。それこそがこの国の抱えている最大の問題であるからである。
 註記)http://天木直人.com/2016/08/27/post-5262/
 出所)左側画像は,http://www.tv-asahi.co.jp/asanama/

 --原発の問題は,天木直人も指摘するようにたしかに,この国の「対米従属の根源である」問題要因,つまりその不可欠に構成されているエネルギー資源問題を意味する。そして,もうひとつの問題要因が「日米安保条約体制」という軍事関係の国際政治問題である。「原子力の平和利用とその戦争利用」とは《表裏一体の深い関係》にある。米日間における国際政治関係ならびに軍事同盟関係においてはもともと,そういった原初的かつ実際的な相互依存性が,原発の問題をも介して深い地層にまで浸透している。
      矢部宏治表紙2014年 矢部宏治表紙2016年 
    註記)いずれも集英社インターナショナル,2014年10月と2016年5月発行。

 矢部宏治の著書,『日本はなぜ,「基地」と「原発」を止められないのか』(集英社インターナショナル,2014年)と『日本はなぜ,「戦争ができる国」になったのか』(集英社インターナショナル,2016年) を,この名称だけでも想起してみればよい。安倍晋三政権のもと,原発と戦争の問題の基底に控える「核問題の厳在」は,日本国憲法との関係性があるなかで日本的な特殊事情をかかえてはいるものの,対米従属である基本性格をもって明白に特定の中身が表現されているはずである。

 ②「〈解説スタジアム〉『どこに向かう 日本の原子力政策』」(NHK総合テレビ,2016年8月26日(金)午後11:55~午前0:50(55分),地域:東京)

 1)「解説:その1」
 ① において天木直人が語っていたこの番組の内容は,こういう筋書きであった。

 各地で相次ぐ原発再稼働の動き。ゆきづまりをみせる「核燃料サイクル」。日本の原子力政策をどう考えていくか。解説委員が生放送で徹底討論します。

 ◇ 出演者ほか ◇
  【キャスター】 NHK解説委員長…西川吉郎,小林恵子(つぎの画像に登場しているが,表情に注意したい。司会者と似たような雰囲気が出ているように感じる)
  【出 演】   島田敏男,関口博之,竹田 忠,水野倫之,高橋祐介,板垣信幸
NHK特番2016年8月26日原発問題2
 ◇ 詳 細 ◇
 NHKの解説委員が専門知識を生かし,さまざまなテーマで意見を戦わせる「解説スタジアム」。今回のテーマは「どこに向かう 日本の原子力政策」です。今〔8〕月,愛媛県の伊方原発3号機が再稼働するなど,原発再稼働の動きが各地で相次いでいます。また,「核燃料サイクル」がゆきづまりをみせるなど,日本の原子力政策の根幹が問われています。日本の原子力政策をどう考えていくか。解説委員が生放送で徹底討論します。
 註記)https://bh.pid.nhk.or.jp/pidh07/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20160826-21-03023&pf=f

 2)「解説:その2」
  放送日;2016年8月26日(金) 23:55~ 0:50
  放送局 NHK総合

 ◇ 番組概要 ◇

 a) オープニング (その他) ……西川アナらが挨拶。今回のテーマは「どこに向かう 日本の原子力政策」。番組へのご意見・質問は「解説スタジアム」で検索。

 b) オープニング映像。 ……キーワード「原子力」

 c) 「解説スタジアム-どこに向かう 日本の原子力政策」 
 
 ★-1「日本の原発の現状」 日本の現在の原発の現状について26基が審査申請している状態で高浜など計7基の原発が審査を合格している。しかし,高浜原発は3・4号機は運転停止になっており,現状は川内と伊方の3基のみが稼働している。
=四国電力伊方原発3号機が再稼働 2016年08月12日 (金) =
( 関連の報道記事 )

 四国電力は〔8月〕12日午前9時,伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の原子炉を起動し再稼働させた。伊方原発が稼働するのは2012年1月以来約4年7カ月ぶりで,3号機は2011年4月以来。

 2011年3月の東京電力福島第1原発事故を踏まえた新規制基準に適合した原発の再稼働は,九州電力川内原発1,2号機(鹿児島県)と関西電力高浜原発3,4号機(福井県)に続き3原発5基目。高浜3,4号機は司法判断で運転停止が続いており,プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電では国内唯一となる。

 四電によると,〔8月〕13日には核分裂反応が安定して持続する「臨界」に達する見通しで,15日に発送電を開始する。徐々に出力を上げて22日にフル稼働させ,国の原子力規制委員会による最終的な検査を受けて9月上旬に営業運転を開始する予
 註記)http://www.ehime-np.co.jp/news/local/20160812/news20160812020.html
 再稼働の判断は原子力規制委員会がおこなっており,政府の思惑どおりには進んでいないが,判断基準となっている地震への対策などへの案は進んでいると話す。その一方で日本の再稼働の基準は甘いと板垣さんは話す。海外の基準では避難経路なども盛りこまれているなど説明した。
    ちょうど,本日〔2016年8月31日〕の『朝日新聞』朝刊2面「〈(いちからわかる!〉原発事故時の屋内退避,不安が広がっている?」という解説記事が出ていた。これは画像資料にして参照しておく。( ↓ 画面 クリックで 拡大・可)
    『朝日新聞』2016年8月31日朝刊2面原発事故避難問題
 水野氏は「熊本地震」などの教訓を活かしきれていないと指摘する。耐震性をもった体育館でも亀裂が走るなど起きているなど説明。これを原子力規制委員会側はそれは自分たちの仕事ではないとしているなど説明した。

 三反園訓知事〔鹿児島県知事に2016年7月28日に当選〕はもともとは原発に依存しない用と進めていたが「熊本地震」を受けてから,原発を視察して避難などの問題があり,一時停止を要請としてる。原発を再稼働させる理由として,稼働コストを安く済ませたいという考えがあるなど話す。

 老朽原発の再稼働・稼働延長について国はエネルギー基本計画で原発で20%程の稼働をみこんでおり,2030年でその状態だとおよそ30基程度稼働していることになっていると説明。しかし,原発40年ルールでみると2030年ころにはおよそ25基程度で差の5基分は運転延長などの対策しかない状態になっているなど説明。さらに将来性がみえてこないなど意見が出た。( ↓ 画面 クリックで 拡大・可)
2030年電源構成比率みこみ画像
出所)http://www.nippon.com/ja/features/h00114/

 再稼働について議論になっている「核のゴミ」について,処理方法が明確に決まっておらず,年内には何処に処理をするかを決めるという。関口氏は十数年かけて自治体に協力を呼びかけているが話は進んでいないなど説明。水野氏は世界でも処分場について2国〔フィンランドととスウェーデン〕くらいしかなく,それでも20,30年ほどかかっており,日本でもそのくらいかかるのではなど話した。
   (※)この番組のなかで,ある解説委員が言及していた。NHKは視聴者に対してすでに「現在,運転停止している原子力発電所の再稼働に賛成? 反対?」というアンケートをおこなったことがある。その結果は「反対が 67.3%,賛成が 25.4%となった」。

 ④「〈社説〉福島の凍土壁 本当に破綻でないのか」(『朝日新聞』2016年8月29日朝刊)

 1) 福島第1原発の汚染水対策が,暗礁に乗り上げている
 経済産業省資源エネルギー庁と東京電力は凍土方式による遮水壁(凍土壁)を対策の柱と位置づけてきたが,いっこうに成果が上がらない。原子炉建屋などをとり囲むように造られた凍土壁は今〔2016〕年6月,全面的に稼働した。しかし3カ月近くたっても凍結しない部分が残り,そこから地下水が原子炉建屋側に流れこむ。放射性物質に触れて発生する汚染水は,日量約400立方メートルのまま減っていない。
凍土壁失敗という指摘画像
出所)この画像は2015年8月中のものである,
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-3491.html

 原子力規制委員会の検討会では,外部有識者から「計画は破綻(はたん)している」との指摘まで飛び出した。それでも,東電は未凍結部分にセメントを流しこむことなどでなお計画を進める考えを譲らなかった。世耕経産相も記者会見で凍結は進んでいるとの認識を示し,「東電を指導していく」と強調した。

 東電は凍土壁の成功を前提に,汚染水の発生を〔2016年〕9月からは日量約250立方メートル,年明け以降は約150立方メートルと想定している。このまま減らないと,放射性物質の大半をとり除く処理や,処理後の水を蓄えるタンクの設置にも影響が及び,計画全体が綱渡りになる。

 2) 凍土壁は,本当に破綻していないのか
 国の事業として建設に345億円が投じられただけでなく,日々の冷却にもお金はかかっている。確たる目算を欠いたまま人や資金,時間をずるずると費やすことは許されない。エネ庁と東電は,期限を切って成否を見極めねばならない。規制委が再三求めてきたように,失敗した場合に備えて代替策も検討するべきだ。

 今回のような大規模な凍土壁を築く試みは,国内では例がなかった。エネ庁と東電はそれをあえて,世界最大級の原発事故の現場に持ち込んだ。施工期間が短くてすむ利点の一方で,規制委を含む専門家の間では「地下水が多く,流れも速いから完全凍結は難しい」「流入量を減らすのなら,土木工事で遮水壁を造る方が確実」などとさまざまな異論が当初からあった。エネ庁側はそれを押し切った経緯がある。

 いうまでもなく,凍土壁は汚染水を減らすための手段である。エネ庁と東電の間では,凍土壁の成功が目的になってしまっているのではないか。大量の放射性物質を含む汚染水による再度の環境汚染を防ぐために,どんな対策が有効で確実か。楽観を排し,広い視野で臨むべきだ。

 --本ブログの記述には,凍土壁の工法が成功する展望をもてない問題について最近(直近)の記述として,つぎのものがあった。2016年08月20日,主題「東電福島第1原発事故現場の『汚染水漏れ』対策は,いつになったら完了できるのか? あと何年・何十年かかるのか?」,副題「いつ終わるのかこれからもまったく読めていない『いまも生きている〈悪魔の火〉=溶融した核燃料『残骸(デブリ)』 による放射性物質汚染水の継続的な発生問題に対する東電側対策の無力さ」

 東電福島第1原発事故現場における凍土壁工事の問題すら,いまだに解決の見通しが立っていない。原子炉の溶融・爆発事故でできてしまったデブリ(核燃料が溶融して格納容器の底面に溜まっていると推測されているが,その形状は不詳のままである)も,いつになったらとり出しできるのか,こちらもまったく見通しがついておらず,まだだいぶ先の話である。事故を起こした原子炉そのものが,廃炉工程の段取りにまで到達できるのは,いったい,何年〔あるいは何十年?〕先になるか,こちらの課題もさっぱり予測できない状態に留めおかれている。

 “誰だ! フクシマはアンダー・コントロールだ(!)などと愚にもつかない断定を。それもしたり顔で,したのは?”

 だから,ある人は茶化したあげく,つぎのような「英語の勉強例」を作成していた。「これは,受験生諸君にとっても勉強になります。来年のセンターに出るかも? つぎの文に下から適切なものをえらんで入れなさい」と,あくまで冗談で断わられている。

= 安倍首相とともに英語を学ぶ ~under control の意味 =

 問題 ⇒ “The situation is under control. It has never done and will never do any damage to Tokyo.” を読み,下の選択肢〔 ① ② ③ ④ 〕のなかからもっとも適当と思われるものを選び,その番号を記入しなさい。

 解答 ⇒ The damage is done ! The situation is(   )control.
   (つぎから選択する → ) ① above ② by ③ out of ④ under

 註記)『祝子川通信』2013.09.14.16:35,Hourigawa Tsushinhttp://koledewa.blog57.fc2.com/blog-entry-235.html

 ⑤ “櫻井よしこ” というトンチンカン・おばさんのエセ知識人ぶり

 月刊誌『WiLL』2016年10月号に櫻井よしこ稿「原発は世界の常識です」,が掲載されている。こう宣伝されている。
   「発売中の月刊 WiLL 10月号に『原発は世界の常識です』(ジャーナリスト・櫻井よしこ氏)が掲載されていますのでお知らせします。また,エネコン通信 ㉗ では,7月23日に静岡市で開催したエネルギーシンポジウム in 静岡『どうするエネルギー問題』の開催報告を掲載致しました。

 2016.8.26 日本エネルギー会議事務局」。
 註記)http://enercon.jp/topics/10049/?list=artWiLL2016年10月号表紙目次画像icle
 櫻井よしこ流にいわれたこの「原発が世界の常識である」という主張の意味が,具体的にいったいなに指しているのか判りにくい。

 原発を電力発電に利用することが常識だというのであれば,21世紀におけるエネルギー資源問題の現状および歴史とその展望のなかに読みとるべき「本質問題」を,完全に排斥し欠落させた浅薄な理解である。

 自然・再生可能エネルギーの開発と利用に関する現状認識などは,ハナから無視したいいぶんである。櫻井よしこによる,この「原発に関する〈常識〉」なるものは,実は完璧に近い『世界の非常識』である。

 この事実は,われわれがわざわざ指摘するまでもなく,すぐに気づいていることである。たとえば,未開の地域であり,これから発展途上に向かわねばならないアジア・アフリカ諸国家・諸地域では,原発の導入はまったく無縁であるほかない〔べきはずである〕電源である。

 櫻井よしこの原発観は「相手にする余地もない」ほどに無知「観」を充満させているが,この程度の知識人の愚かな発言が,それもいっぱしの知的水準にあるつもりで放たれている。百害あって一利なし。

 櫻井よしこ流の原発認識にしたがい,原発に関して論理的にモノをいうことになれば,スリーマイル島原発事故(1979年3月28日)もチェルノブイリ原発事故(1986年6月26日)も福島第1原発事故現場(2011年3月11日)も,これらすべてが『世界の常識である《原発事故》』として観念してもよいことになる。

 --櫻井よしこさん,間違いなく,そうですよね。

 冗談にもならない,愚にもつかない,それも相当に〈たちの悪い思考〉を,それも必死になって主張している彼女の姿……。なにゆえ《悪魔の火》にそれほどまで魅惑されているか? 原発にひどく執着して止まないのが,彼女に固有・必然の立場・思想なのだとすれば,その顔のほうも “どうしても『核発電界の保守・国粋・極右・反動の〇女』” のようにみえてしかたない。
  櫻井よしこ画像2 櫻井よしこ画像1
   出所)左側画像は,http://www.sankei.com/premium/news/150706/prm1507060007-n1.html
      右側顔図は,http://pippa2cv.blogspot.jp/2016/03/blog-post_18.html
 
 櫻井よしこさん,そこまでいうのであれば,福島第1原発事故現場を完全に解決できる方途を,すなわち,そのために必要となる最低限の具体策くらいは,あなた自身の立場・思想から説得力のある議論(解決案)として提示していなければならない。原発事故に関するあなたの見解は,はたしてまともな内容が展示しえているのか? 「安全神話」の絶対的な保証のない原発であるから,この事故はあってもしかたがないというわけか? それも「世界の常識」というわけか?  語るに落ちた話になってしまった。

 ⑥『日本経済新聞』の原発維持・利用にこだわる立場-原子力村:日本国会員としての主張-

 ⑤ まで記述したところで,本日〔2016年8月31日〕『日本経済新聞』朝刊「社説」に目を通した。日本経済新聞社も原子力村(くわえて「安保村」)に与する一員の言論機関であるから,原発廃絶の立論のほうにはけっしてかかわらず,これからも原発は維持・活用していく立場・方針で論説を展開してきた。

 本日紹介し,議論してきたNHKの特番「解説スタジアム」「どこに向かう 日本の原子力政策」において,NHK解説委員たちの明示した対原発観は,基調としてみれば確実に反対であり,脱原発を志向する姿勢であった。

 それに比べてこの日本経済新聞「社説」の論調は,いささか奇妙というか,多分に屈折した中身になってもいた。その論旨をより突き詰めてみて考えるに,「反のつく原発論」であっても,また「脱に向かう原発論」であっても,大きな相違はないようにも読める社説になっていたのである。その意味ではいささか奇妙な主張が展示されているといってもよい社説である。

◆ 原子力発電の長期展望示す議論を ◆

 東京電力(現東京電力ホールディングス)福島第1原子力発電所の事故から5年半が経とうとしている。この間,政府は原子力政策の長期的な展望を示してこなかった。「原子力発電への依存度を下げる」と繰り返すのみで,どれほどの水準を維持するのか,議論を避けてきた。エネルギー安全保障と地球温暖化対策,電気料金の安定の3つを満足させるうえで,日本にとって原子力は欠かせない電源だ。
 補注)まずここに挙げられていた3点,「a) エネルギー安全保障と b) 地球温暖化対策,c) 電気料金の安定の3つ」については,はたして論点として十全に形成されうるこの3点であるかというところから疑いを抱く。

 自然・再生可能エネルギーの開発・利用が高度になれば a) の問題点は自然解消する。b) の地球温暖化の議論は空中楼閣のきらいがあった。c) の電気代の問題はすでに「3・11」以来,相当値上げがなされてきたが,庶民はガマンして耐えてきている。その意味で重大な問題点たりえない現状にある。

 要するに,以上の a) b) c) の「論点の問題化状況」を踏まえて議論したこの日本経済新聞「社説」は,いささかならず抽象が過ぎているという意味あいがあっての,かなり現実ばなれした論説になっている。要はタメにする議論である性向が顕著なのである。ともかく,以下に引用していく。

 1)自由化との両立めざせ
 展望がないままでは,原子力の安全を支える人材や技術,産業さえも衰える。原子力発電の将来像を示す議論を早く始めるべきだ。昨〔2015〕年決めた2030年時点の電源構成の目標では,とりあえず原子力で電力の20~22%を賄うとしたが,その先はみえない。

 古い原発を廃炉にする代わりに,安全面で優れた新しい原発を建てるリプレース(更新)をしなければ,原子力比率は今世紀半ばにゼロに近づく。建設に10~20年以上の長期を要することを考えても,もはや時間的な余裕があるとはいえないだろう。
 補注)NHKの特番では,原発の新設には無理があると,ほぼ全員が一致したかのような議論を交わしていた。その意味ではNHKの解説委員たちは,大約したところで判定すれば「脱原発論」であった。

 議論すべき点は多い。まず電力自由化のなかで原子力事業の採算性をどう保つか,だ。原発は建設費が巨額だ。九州電力・川内原発は2基で約5千億円かかった。電力会社の利益を保証するかたちで電気料金を決める総括原価方式を前提に,建設が進んできた。自由化でこの方式が撤廃されると,原発への新規投資が滞る公算が大きい。
 補注)これから日本で原発を新設するとなれば,1基建設するのに1兆円もかかるかもしれない,それでは新設はむずかしいのではないかとも指摘されていた。「総括原価方式」も前提にできなくなっている「原発による電力生産方式」だとなれば,アメリカではすでに生起しているような,採算がとれないために原発建設の工事中止や計画じたいのとり止めも起きないとは限らない。

 「3・11」を契機に日本の原発は新規に建設できない状況が続いている。
    イ) 2015年04月14日時点で「建設中または予定の原発」は,つぎのとおりであった。

 2011年 5月20日 東京電力福島第1原発7,8号炉建設中止決定。残り12基。
 2013年 3月28日 東北電力浪江小高原発1号炉建設中止決定。残り11基。

 ロ) 2030年までに原発を現状より14基以上増やすとした政府のエネルギー基本計画があった。以下は,2012年12月末時点での現在新増設予定の商用原発一覧であった。

 【建設中3基】
   1:電源開発大間原発1号炉 進捗度(37.6%)
   2:東京電力東通原発1号炉 進捗度(10.0%)
   3:中国電力島根3号炉   進捗度(93.6%)

 【計画中9基】
   1:東北電力東通原発2号炉
   2:東京電力東通原発2号炉
   3:中部電力浜岡6号炉    
   4:日本原電敦賀3号炉
   5:日本原電敦賀4号炉
   6:中国電力上関1号炉
   7:中国電力上関2号炉
   8:九州電力川内3号炉

 【計画中止3基】
   1:東京電力福島第1,一7号炉
   2:東京電力福島第1,8号炉
   3:東北電力浪江小高原発1号炉

 註記)「建設中又は予定の原発」『原発・核関連地図』2015年04月14日,http://genpatumap.seesaa.net/article/197829990.html
日本の原発状況図解画像
 出所)「日本の原子力発電所の運転・建設状況(2014年度末時点)」『日本原子力発電会社』, http://www.japc.co.jp/atom/atom_1-7.html ( ⇑ 画面 クリックで 拡大・可)
 さらに廃炉に必要な費用も今後,重荷になる。福島事故以前からの3基にくわえて,福島第1など12基の廃炉がすでに決まった。関西電力は美浜1,2号機の廃止に約680億円かかるとするが,見積もりどおりで済む保証はない。廃炉で生じる廃棄物の捨て場も決まっていないからだ。
 補注)廃炉のためにかかる経費が,いまの段階で計算・予測されている金額水準で収まる保証は,ほとんどないといってよい。その逆であって,その何倍になりそうだという予想ならしておいたほうが,より妥当性のある未来展望である。

 東電福島第1原発事故現場の場合,事故を起こしたため「3・11」から5年半近くも時間が経過してきたが,溶融したデブリの所在すらまったく把握できていない状態である。半世紀・1世紀もの展望を踏まえて観察すべきであるのが,福島第1原発事故現場の惨状(現状のひどさ)である。

 自由化と原発維持を両立させる国の支援の仕組みが要るだろう。原発の更新をめざす英国は新規原発の電気を安定した価格で長期間にわたり買いとる制度を設けた。再生可能エネルギーの固定価格買いとり制度に似ている。他国の事例を参考にしつつ日本の実情にあった制度づくりが求められる。

 原発事故の賠償制度で電力会社に無限責任を求めるのはそもそも無理がある。最大手の東京電力ですら福島事故後の補償や除染,廃炉で国の支援を必要とした。現行制度の抜本改正を見送るとしても,国の支援をより明確に制度化し,被災者保護を確実にするとともに原発事業のリスク低減を進めるべきではないか。福島第1の廃炉と除染は政府と東電が協力して着実に進める必要がある。国民の負担も勘案してなにをどこまでやるか,現実的な対応を考えなくてはならない。
 補注)この段落の意見は興味深い。「国民の負担も勘案してなにをどこまでやるか,現実的な対応」に論及してはいるけれども,現実を観ればすぐに判るように,いまの東電福島第1原発事故現場の実情に関しては,国民の負担に全面的に頼っているしだいである。原発が過酷事故を実際に起こした結果,すでにとりかえしのつかない事態が進行してきた。この深刻な事態を目前にして「現実的な対応を考えなくてはならない」と主張したところで,いかほどの対策的な意味がありうるのか不可解であるとしかいいようがない。

 今後,原子力発電の維持に政府の関与は強まらざるをえない。しかし「国策民営」の基本形を変える理由はないだろう。原発の国有化などの道を選ぶより,電力会社が強い責任感をもち経営努力を重ねることが健全な原発運営につながるはずだ。政府の役割が強まっても,原子力の安全規制の独立性を侵すことは許されない。原子力を維持するうえでもっとも重要なのは,原子力規制委員会の能力と信用である。
 補注)「原子力規制委員会の能力と信用」については,本日紹介してきたNHKの特番が,そのあり方に問題が残っている事実を批判していた。アメリカとの比較で吐かれていた意見であるが,いわゆる原子力村の構成員である特性をかかえているこの委員会じたいに多くを期待することが,そもそも無理なのである。この点は,いままでの実績からも明白であり,限界・制約があり過ぎるとまで断言してもよい。この点についてはさらに,次段で論及されている。

 2)最高水準の規制機関に
 規制委は発足から4年経つが,福島事故で失った安全規制への信頼を回復しているとは,まだいいがたい。田中俊一委員長が口にする「世界最高水準の安全基準」をもつだけではなく,「最高水準の規制機関」であることが重要だ。政府は質と量の両面で規制委の体制をさらに充実させるべきだ。
 補注)原子力規制委員会が実際にどの程度まで,各電力会社の原発の維持・管理を監督・統制できているかといえば,疑問は大きい。田中俊一原子力規制委員会委員長は,川内原発・高浜原発の再稼働について,私は「安全とは申し上げられない」と語ったことがある。しかし,これほど無責任な「原子力規制委員会」の委員長の発言もない。なんのための規制委員会なのか?

 仮に,この委員会の規制にしたがって再稼働した原発が事故を起きてしまっても,さきに委員長が「安全とは申し上げられない」と,それも素面で堂々といいはなっていたとなれば,これは日本原子力村のなかでは「原発の規制」など,なにもできないと正直にも告白したことになる。無責任のきわみである。
◆ 高級官僚としての田中俊一 ◆

 田中氏は,いわゆる “原子力ムラ” の有力な住民のひとりである。1945年,福島市生まれ。東北大学工学部で原子力工学を学び,日本原子力研究開発機構等を経て,日本原子力学会の第28代会長を務め,内閣府原子力委員会委員長代理や内閣官房参与などを歴任するなど,その経歴はまさに原子力一筋の有力学者である。
田中俊一委員長画像2
出所)http://blog.goo.ne.jp/kimito39/e/77f535d43eafac2ae20a5f2f38116f3a

 この国の「原子力規制委員会」なるものは,政府の単なる出先機関に堕した。独立した機関として,政府や電力会社ともきちんと対峙する,という初期の目的など,とんだ砂上の楼閣だった。権力に対して,はっきり「NOはNOだ」と物申す人物や機関がなくなれば,その国の民主主義は消えてなくなる……。
 註記)「原子力規制委員会田中俊一委員長の悲しい変貌」『風塵だより 鈴木耕』2014年11月12日,http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/15907/
 放射性廃棄物の処分の道筋もついていない。使用済み核燃料の再処理で出る放射性廃棄物の処分場について,資源エネルギー庁は潜在的な候補となる「科学的有望地」を今〔2016〕年末に示す。それからが正念場だ。長らく批判の的だった「トイレなきマンション」の状態を,この機を逃さず脱却しないことには原子力発電の将来もおぼつかなくなる。

 2018年には日米原子力協定が締結から30年の満期を迎える。協定の継続は日本の原子力利用にきわめて重要である。ただ米国には,使用済み核燃料の再処理やプルトニウム利用で,日本に幅広い裁量権を認めた現行協定への批判的な見方があると聞く 批判に応えるうえでも原子力政策の長期展望を示すことが重要だろう。20年,30年先の原発の数を大筋で示し,規模に見合うプルトニウムの生産・利用計画を立てるのが望ましい。

 --「20年,30年先の原発の数を大筋で示し,規模に見合うプルトニウムの生産・利用計画を立てる」ということは,近未来における日本国の「エネルギー資源構成の全体比率」の問題に関して,現実的には,いったいどのような展望となりうるのか?

 自然・再生可能エネルギーの開発・利用はあと15年も30年も経てば,原発は不要・無用になる展望であれば開ける。ところが,原発を20~22%も残していくといっているが,今後における電力の総需要が確実に減少していくのが,日本の産業社会・生活社会の趨勢・傾向である。

 21世紀のこれからにおいて,2030年に「原発比率を20~22%」という目標設定は,自然・再生可能エネルギーの開発・利用をただ妨害し,ひたすら阻止する因子になるだけである。

 それだけではなく,いつまでも「トイレなきマンション」の状態を解決できる見通しのもてない原発に執心するようでは,原発というエネルギー資源がまさしく「時代錯誤のエネルギー観」である事実を,これからも重ねて実証して立場の採用を,いまから宣言したに等しい。愚策である。

 ⑦「原発がどんなものか知ってほしい(全)」(平井憲夫の一文)

 この文章については,冒頭の段落だけを以下に引用しておき,あとは,ここに(※)リンクのみ提示しておく。参考にしてほしい文章が,以下に執筆されている。原発問題に関しては,かなり有名な一文である。
 註記)(※)http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

 私は原発反対運動家ではありません。

 20年間,原子力発電所の現場で働いていた者です。原発については賛成だとか,危険だとか,安全だとかいろんな論争がありますが,私は「原発とはこういうものですよ」と,ほとんどの人がしらない原発のなかのお話をします(下掲の項目が論じられている)。

 そして,最後まで読んでいただくと,原発がみなさんが思っていらっしゃるようなものではなく,毎日,被曝者を生み,大変な差別をつくっているものでもあることがよく分かると思います。

私は原発反対運動家ではありません

「安全」は机上の話
素人が造る原発
名ばかりの検査・検査官
いいかげんな原発の耐震設計

定期点検工事も素人が
放射能垂れ流しの海
内部被爆が一番怖い
普通の職場環境とは全く違う

「絶対安全」だと5時間の洗脳教育
だれが助けるのか
びっくりした美浜原発細管破断事故!
もんじゅの大事故

日本のプルトニウムがフランスの核兵器に?
日本には途中でやめる勇気がない
廃炉も解体も出来ない原発
「閉鎖」して,監視・管理

どうしようもない放射性廃棄物
住民の被曝と恐ろしい差別
私,子供生んでも大丈夫ですか。たとえ電気がなくなってもいいから,私は原発はいやだ。

原発がある限り,安心できない

 著者 平井憲夫さんについて

 --他者による注意喚起。「平井憲夫氏は1997年1月に他界。このHPは2002年に開設。本人の意志による開設ではない。平井憲夫氏を騙る第三者によるHP。




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