日本が病んでいる。鬱屈や絶望が、強い者へは向かわず、より弱い者へ、少数派へ、反撃しない者へと向かっている。ミリタリズム(軍国主義)の卑劣さは、こういうものだ。強い者、金をもっている者に付いて、偉そうに胸を張り、大声をあげる。暴力をふるう。しかし、知性もなければ、その先の、自分と国家に何が待っているかの想像力もない。
日本は荒廃し、ギスギスした世界になってきている。しかし、米国はさらに状況が深刻だ。
日刊ゲンダイ|シリア難民に1000億円 安倍政権“バラマキ外交”3年の総額
日刊ゲンダイ 2015年10月2日
総額3年間で30兆円
また、お得意のバラマキだ。NYの国連総会の一般討論演説で、安倍首相がシリア難民支援に、ポンと約8億1000万ドル(約972億円)を拠出すると表明した。
これとは別に中東・アフリカの紛争地域の復興支援にも約7億5000万ドル(約900億円)をはずむというから、気前のいい話である。
シリア難民の数は400万人を突破。
欧米諸国が対策に苦慮し、国連も世界中に受け入れを求めているのに、日本政府が認定したシリア難民はたった3人。
湾岸戦争の時のように「日本はまたカネしか出さないのか」という声が聞こえてきそうだが、国際社会の批判も安倍にすれば“どこ吹く風”だろう。
第2次政権の発足以来、安倍は国際機関や新興国に湯水のごとく援助資金を振る舞ってきた。
別表の通り、国連で演説するたびにカネを出し、新興国の首脳との会談が決まれば必ず手土産のように資金援助をぶら下げて行く。
その額も10億円、100億円は当たり前で、数兆円規模の拠出も頻繁に繰り返されているから、あ然だ。
安倍が就任後に世界中でバラまいてきた資金援助の額は30兆円近くに上る。
■10月も外交ラッシュ
もちろん、世界有数の経済大国として国際貢献は重要だが、今や日本は1000兆円を超える借金大国でもある。
国民には消費税アップや社会保障費の削減を迫りながら、世界各国には気前よく公金をバラまくなんて、安倍はどうかしている。
ましてや今年1月には、カイロでイスラム国と「戦う国々」への資金援助を表明した途端、邦人2人がイスラム国に殺害されたばかり。
安易にカネをバラまけば、いつ、どんな“痛手”が待っているのか、分からない時代でもある。
「どんな国でも資金が得られれば、喜んで日本のトップと会いますよ。安倍首相はすでに55カ国を訪問し、
『歴代最多』と胸を張りますが、どうでもいい記録更新のために国民のカネを使っているのだとしたら、本末転倒です」(政治評論家・山口朝雄氏)
この秋、安倍は外交ラッシュ。10月末に中央アジアを歴訪し、11月はAPEC、ASEAN、COP21と国際会議が目白押し。
また多額の公金がバラまかれそうだ。