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Channel: 丹沢最高峰 蛭ケ岳1673回超えを目指して 
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ポリーニの演奏がシューベルトの最後のソナタの最高の演奏だと私は思う。

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シューベルト:ピアノソナタ 第19番 ハ短調 D.958
曲目:ピアノソナタ第19番 ハ短調 D.958 Piano Sonata in C minor, D. 958
作曲:シューベルト Franz Schubert

20、21番とともに1828年作曲。死後1838年出版。出版:ディアベリ社。第1楽章第一主題はベートーヴェンの創作主題による32の変奏曲に、第二主題は悲愴ソナタに類似している。雰囲気も一見ベートーヴェン風。けれどもそこからシューベルト独自の世界が展開される。

第1楽章 Allegro ハ短調 4/3拍子 ソナタ形式。
第2楽章 Adagio 変イ長調 4/2拍子 
第3楽章 Minuetto ハ短調 4/3拍子
第4楽章 Presto ハ短調 8/6拍子 ソナタ風ロンド形式。

シューベルトのピアノソナタはどれも演奏時間が長く、
演奏の内容次第では途中で飽きてしまう可能性もあります。
ここに聴かれるポリー二の演奏は、弱〜中〜強音すべてが美しく、
速いパッセージでも決して乱れることのないテクニックと相まって、
決して聴く者を飽きさせません。
また、決して中弛みしないいつもながらの集中力もさすがです。
後期ピアノソナタ3曲はもちろん、3つの小品D.946でも
ポリー二の計算しつくされた繊細さに浸ることができます。
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5つ星のうち 5.0 溢れ出るロマンティシズムの「歌」〜ラストソナタ最高の演奏 2008/2/28
By shannon
形式:CDシューベルトの音楽を「ロマンティック」の一言で表すのには躊躇われる。しかし、最後のソナタにはシューベルトならではのロマンティシズムが満ち溢れている。内田光子の演奏のレビューにも書いたが、この曲には乾いた寂寥感が漂っている。31歳で夭折したシューベルトのどこにこれほどの悲しさがあったのだろうか。しかし、その悲しさにはシューベルトの諦めにも似た微笑が隠されている。悲しさと微笑み。これがこの曲のロマンティシズムの本質なのではなかろうか。シューベルトは悲しさを外から見てそれを受け入れている。悲しいけれど受け止めている。そこにこの曲のほかの曲にはない微妙なロマンティシズムを感じる。

ポリーニのピアノはとても音が明るい。きらびやかとか、華やかというのではない。また、クリスタルクラールという類のものでもない。柔らかく、濁りがなく、肉声のような、それも若い女性歌手のアルトのような健康的で素朴で内実のある明るさである。その音がつぶやくような、語りかけるような優しい音楽を紡ぎだす。それはロマンティックな歌となって、泉のように滾々と湧き出してくる。

ポリーニの演奏の中でこのシューベルトの最後のソナタが最高の演奏であると同時に、ポリーニの演奏がシューベルトの最後のソナタの最高の演奏だと私は思う。
ポリーニには確かに、自らのうちに自然に備わった歌がある。何の作為もなく、衒いもなく、その歌が自然に流れ出たような素敵な演奏だと思う。
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5つ星のうち 5.0 やはり名盤 2005/4/30
By ぴかちうの森
形式:CD シューベルトは、ピアノ・ソナタの完成率が約半分という、ある意味演奏家泣かせの構成の曲を書いている。しかし、メロディーの美しさは他のどの作曲家ともひけをとらない。
 この作品をレコーディングするにあたり、ポリーニは、肉筆原稿(おそら初版)にまで目を通した上で臨んでいる。シューマンについてもそうだが、できるだけ作曲家の最初のインスピレーションを重要視していることがうかがえる。単なる繰り返しと思いきや、微細な違いにも気を行き渡らせている。
 相変わらずの透明な美しい響きが、ここでも堪能できる。ベートーヴェンの構成美とはまた違った美しさを味わってほしい。

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