以下は平成23年度の歳入状況です。
所得税 13.5兆円
法人税 9.5兆円
固定資産税
相続税 1.5兆円
タバコ、酒税、関税、印紙税他 4.5兆円
揮発油税 2.5兆円
消費税 10.0兆円
合計 41.5兆円
これに対して平成24年予算です
国債費 21.0兆円
地方交付金 17.0兆円
社会保障費 30.0兆円
文教・科学技術振興 6.0兆円
公共事業 6.0兆円
防衛費 5.0兆円
その他 15.0兆円
合計 100兆円
国と地方が抱えている借金「政府債務額(せいふさいむがく)」は今や1000兆円を超えようとしている。国民1人当たりが背負う借金の額は、2歳の赤ちゃんの場合、すでに約750万円。ちなみに現在66歳の人が0歳児の頃は、1人14万8000円だった。
最近のお年寄りは恵まれているけど、若者は大変だ……などと言いたて、いたずらにお互いの溝を深めるのはけっしていいことじゃない。でも、これらからわかるように、日本はお年寄りと若者の“恵まれ度”の違い「世代間格差」がとても大きな国だ。
このままほうっておけば、将来、格差はますます大きくなるだろう。というのも、世代間格差を生んでいる犯人は、人口構造の変化だからだ――。というわけで、今回は君たちの将来にも大きな関わりがある「世代間格差」の話をすることにしよう。
2050年には「肩車社会」が到来
消費税20%、年金保険料25%の日も近い?
日本の社会保障は、お年寄りが受ける福祉の負担を現役世代が担う仕組みだ。「世代間の助け合いシステム」って呼ばれているよ。
このまま昔ながらの社会保障システムを続ければ、消費税は10%どころではすまなくなるだろう。君たちが大人になる2030年頃には、“20%超”まで引き上げられるのではないか、という見方もあるんだよ。
「世代間の助け合い」もいいけれど、今、「世代間の分かち合い」こそ必要とされているのではないか、と私は思う。
年金財政は年々苦しくなってきているのが現実です。今回の75歳支給開始はあくまで個人の選択という話でしたが、近い将来、全員が75歳からの支給開始になるという可能性は決して否定できません。
若者へのしわ寄せ
日本では解雇規制が厳しいため非正規雇用を活用する企業が多いが、それは日本経済が成長しなくなった1990年代後半から特に増えており、その対象となったのが、主に20代、30代である。
非正規社員は、正社員と比較して賃金水準が低く、さらに雇用が安定しない。短期の派遣を繰り返しても特別なスキルアップができないことが多く、多くは非正規雇用のままで留まっている。そのため、貯蓄の余裕はない。
中高年を中心とした正社員の雇用を守ることで、若者にしわ寄せがいったといえる。
それでは正社員は安泰かというと、必ずしもそうとはいえないように思える。企業に勤めていれば、若者や中堅社員が稼いだ分で高齢の役職者に高 給が支払われていることは身をもって感じているはずだが、今の20代、30代が50代になったときに、それが続く保証がないことは、JALや東電を見れば わかるだろう。
団塊の世代が定年退職を迎えつつあることで、彼らの人件費が若者へ移転するといいのだが。
若者から高齢者への所得移転
現在の日本では、若者から高齢者への所得移転の制度が多い。
以前も書いたように、現在の日本の年金制度は、個人が納めた保険料を積み立ててその運用益とともに個人に返す(=積立方式)のではなく、現在の現役世代の納める保険料によって現在の高齢者の年金給付を賄うという世代間扶養、すなわち若者から高齢者への所得移転の仕組みによって成り立っている。
厚生労働省では、世代ごとの給付と負担の試算を公表しているが、それによると、国民年金は1940年生まれの人は払った保険料の4.5倍が給付されるのに対して、2000年生まれの人は、1.5しか給付されない(個人的には、この試算は非常に楽観的なので、2000年生まれの人が1.5倍給付されることはないと考えている)。
参考:「平成21年度の年金制度のポイント」
国債の発行も将来世代へツケを 回すことだ。国債の発行によって作られたインフラを利用するのは将来世代なのだから、一方的に負担を押し付けているわけではないという意見もあるが、利用 者のいない空港を作っても、必要の無いダムを作っても、将来世代のためにはならない。それだけでなく、将来発生するメンテナンスコストまで押し付けること になる。さらに、現在の社会保障に使われた資金は、将来世代には何ももたらさない。
公的交通機関など、65歳以上の利用者に割引をするところが多いが、2030年には65歳以上の人口が3割に達すると予測されているのに、それで経営が成り立つのだろうか。もし高齢者割引が維持できなければ、現在の40代以下は負担だけして、メリットを享受できないことになる。
また、75歳以上の医療費無料化を主張する政党があるが、それを負担することになるのは若年・中高年層だ。
つまり、全体としてみると、貧しい若者から豊かな高齢者への所得移転が進んでいるということになる。
無論、高齢者が全て多額の貯蓄を有しているわけではなく、中には貧しい人がいるのは事実だが、比率でいけば、貧しい若者のほうが多い。「高齢者=弱者」などという間違った図式で語るのは止め、年齢ではなく、本当に困っているかどうかで線引きすべきだ。
なぜ、こんな政策がまかりとおるのかといえば、若者の投票率が低いのに対して高齢者の投票率は高く、政治家にとって重要な票田だからだ。また マスコミが、とかく「高齢者=弱者」という図式で語りたがるのも、新聞の主な購読層が高齢者で、昼のテレビも高齢の視聴者が多いからだ。
これを変えられるのは、政治しかない。
所得税 13.5兆円
法人税 9.5兆円
固定資産税
相続税 1.5兆円
タバコ、酒税、関税、印紙税他 4.5兆円
揮発油税 2.5兆円
消費税 10.0兆円
合計 41.5兆円
これに対して平成24年予算です
国債費 21.0兆円
地方交付金 17.0兆円
社会保障費 30.0兆円
文教・科学技術振興 6.0兆円
公共事業 6.0兆円
防衛費 5.0兆円
その他 15.0兆円
合計 100兆円
国と地方が抱えている借金「政府債務額(せいふさいむがく)」は今や1000兆円を超えようとしている。国民1人当たりが背負う借金の額は、2歳の赤ちゃんの場合、すでに約750万円。ちなみに現在66歳の人が0歳児の頃は、1人14万8000円だった。
最近のお年寄りは恵まれているけど、若者は大変だ……などと言いたて、いたずらにお互いの溝を深めるのはけっしていいことじゃない。でも、これらからわかるように、日本はお年寄りと若者の“恵まれ度”の違い「世代間格差」がとても大きな国だ。
このままほうっておけば、将来、格差はますます大きくなるだろう。というのも、世代間格差を生んでいる犯人は、人口構造の変化だからだ――。というわけで、今回は君たちの将来にも大きな関わりがある「世代間格差」の話をすることにしよう。
2050年には「肩車社会」が到来
消費税20%、年金保険料25%の日も近い?
日本の社会保障は、お年寄りが受ける福祉の負担を現役世代が担う仕組みだ。「世代間の助け合いシステム」って呼ばれているよ。
このまま昔ながらの社会保障システムを続ければ、消費税は10%どころではすまなくなるだろう。君たちが大人になる2030年頃には、“20%超”まで引き上げられるのではないか、という見方もあるんだよ。
「世代間の助け合い」もいいけれど、今、「世代間の分かち合い」こそ必要とされているのではないか、と私は思う。
年金財政は年々苦しくなってきているのが現実です。今回の75歳支給開始はあくまで個人の選択という話でしたが、近い将来、全員が75歳からの支給開始になるという可能性は決して否定できません。
若者へのしわ寄せ
日本では解雇規制が厳しいため非正規雇用を活用する企業が多いが、それは日本経済が成長しなくなった1990年代後半から特に増えており、その対象となったのが、主に20代、30代である。
非正規社員は、正社員と比較して賃金水準が低く、さらに雇用が安定しない。短期の派遣を繰り返しても特別なスキルアップができないことが多く、多くは非正規雇用のままで留まっている。そのため、貯蓄の余裕はない。
中高年を中心とした正社員の雇用を守ることで、若者にしわ寄せがいったといえる。
それでは正社員は安泰かというと、必ずしもそうとはいえないように思える。企業に勤めていれば、若者や中堅社員が稼いだ分で高齢の役職者に高 給が支払われていることは身をもって感じているはずだが、今の20代、30代が50代になったときに、それが続く保証がないことは、JALや東電を見れば わかるだろう。
団塊の世代が定年退職を迎えつつあることで、彼らの人件費が若者へ移転するといいのだが。
若者から高齢者への所得移転
現在の日本では、若者から高齢者への所得移転の制度が多い。
以前も書いたように、現在の日本の年金制度は、個人が納めた保険料を積み立ててその運用益とともに個人に返す(=積立方式)のではなく、現在の現役世代の納める保険料によって現在の高齢者の年金給付を賄うという世代間扶養、すなわち若者から高齢者への所得移転の仕組みによって成り立っている。
厚生労働省では、世代ごとの給付と負担の試算を公表しているが、それによると、国民年金は1940年生まれの人は払った保険料の4.5倍が給付されるのに対して、2000年生まれの人は、1.5しか給付されない(個人的には、この試算は非常に楽観的なので、2000年生まれの人が1.5倍給付されることはないと考えている)。
参考:「平成21年度の年金制度のポイント」
国債の発行も将来世代へツケを 回すことだ。国債の発行によって作られたインフラを利用するのは将来世代なのだから、一方的に負担を押し付けているわけではないという意見もあるが、利用 者のいない空港を作っても、必要の無いダムを作っても、将来世代のためにはならない。それだけでなく、将来発生するメンテナンスコストまで押し付けること になる。さらに、現在の社会保障に使われた資金は、将来世代には何ももたらさない。
公的交通機関など、65歳以上の利用者に割引をするところが多いが、2030年には65歳以上の人口が3割に達すると予測されているのに、それで経営が成り立つのだろうか。もし高齢者割引が維持できなければ、現在の40代以下は負担だけして、メリットを享受できないことになる。
また、75歳以上の医療費無料化を主張する政党があるが、それを負担することになるのは若年・中高年層だ。
つまり、全体としてみると、貧しい若者から豊かな高齢者への所得移転が進んでいるということになる。
無論、高齢者が全て多額の貯蓄を有しているわけではなく、中には貧しい人がいるのは事実だが、比率でいけば、貧しい若者のほうが多い。「高齢者=弱者」などという間違った図式で語るのは止め、年齢ではなく、本当に困っているかどうかで線引きすべきだ。
なぜ、こんな政策がまかりとおるのかといえば、若者の投票率が低いのに対して高齢者の投票率は高く、政治家にとって重要な票田だからだ。また マスコミが、とかく「高齢者=弱者」という図式で語りたがるのも、新聞の主な購読層が高齢者で、昼のテレビも高齢の視聴者が多いからだ。
これを変えられるのは、政治しかない。