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Channel: 丹沢最高峰 蛭ケ岳1673回超えを目指して 
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資本家を 隠し嘘吐く 「国のため」 戦争と経済の本質 原発の罠

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日本では、戦後の50年で、がんの死亡がずっと増え続けている。1900年台の前半は、がんはそこまで存在しなかった。日本に原爆が落とされて、アメリカ製の原子力発電所が導入されてから、一気に増え始めたのだ。今でも日本にある原発の八割がアメリカ製だ。

ほとんどが海岸沿いの国土の2割程度の面積に人口が集中していて、原発も割と近くに配置されている。

そして、本場のアメリカで分かって来たことが、原子力発電所というのは、公に発表されているよりも、ずっと大量の放射性物質を放出しているということだ。大半は、細かい分子になった、核の分裂によって産まれる物質で、大気や海に放出されている。核分裂生成物というやつだ。

ヨウ素131は、ほとんどが一週間の半減期だが、これは首にある甲状腺に集中する。甲状腺というのは、体全体の新陳代謝をコントロールしていて、多くの器官が甲状腺のホルモンによって動いている。だから甲状腺が壊れると、大人だと、甲状腺に異常が生じたり、がんになることがある。また、ストロンチウム90は骨に集中する。これはカルシウムと似ているためで、カルシウムは、骨をつくったり、神経の伝達にも欠かせない。要するに、脳みその働き、考える力に貢献している。よって、ストロンチウム90が引き起こす問題というのは、あまり知られていないのが、カルシウムと同じように骨だけじゃなく、脳にも入り込んで、神経にダメージを与えるため、特に脳の発達に支障をきたすようになる。

赤ちゃんもそうだし、お母さんのお腹の中いる胎児のときからだ。それに、脳みそは10代まで発達し続ける。だからそこに問題が生じると、普通の読み書き、理解する力、計算する力、全体的に影響を受けてしまう訳だ。健康な脳みそをつくる過程でだよ。

もう一つ言いたいのが、ストロンチウム90は骨に入って、強い電子を放出する。骨髄では赤血球と白血球もつくられているから、ここで異常が起きると、白血病を起こす。また、白血球というのは、体のありとあらゆる病源と戦っているから、白血球がちゃんとつくられないと、これは大都市で警察のストを起こすと犯罪率が一気に高くなるようなものだ。分かるね。ストロンチウム90が白血球を壊せば、体中にがんが起きても止めることができない。ストロンチウム89の半減期は50日で、ストロンチウム90の半減期は28年だから、体に蓄積されていくものだ。

良いかい。基本的に原子力発電所が自ら検出して発表しているデータはそこまで信用しない方が良い。電力の生産があがるほど、放射性物質の排出はぜったいに免れられないのだ。それに、原子力発電所がどのくらい排出しているかを心配したり論議するよりも、人間にどのくらい入って来ているのかを検出する方がずっと早いのだ。私たちの90年代の研究で分かったことは、アメリカで原子力発電所の近くに住んでいる子供たちの乳歯から検出されたストロンチウム90は、かつての核実験の時代と同じくらい高くなってきているということだ。これは原子力発電所が放射性物質を出し続けている確固たる証拠だ。このプロジェクトもアメリカの政府がデータを公表しなくなったために、独自で始めたのだ。ストロンチウム90の値は、すでに胎内で蓄積されていることが分かることと、ストロンチウム以外の放射性物質も入って来ていることを裏付けるから大事な訳だ。これらはすべて、いわゆる通常の運転で起きていることだよ。」

繰り返すが、日本の八割はアメリカ製の原子力発電所であるからして、まず間違いないだろう。原子力発電所の放射性ガスや放射性物質の粒子は、日本の美しい山脈に降り注ぎ、それがきれいな湧き水に混入して、田んぼや畑、飲み水に入って行ってしまうのだよ。風がどっちに吹いていようが関係なく、これがいちばん起こりうる被ばくの方法で、私はこれが日本でがんが急増している要因のひとつだと考えている。ちなみに、ロレン・モレーが日本で集めた乳歯のサンプルからもストロンチウム90が充分なレベル検出されている。これはどこで産まれたか、どこで育ったかによって大きく異なるし、もっと大規模な研究が必要だが、アメリカと同じような状況であると予想される。小児がんを主に、健康な発育が妨げられる確率が数割は高くなるということだ。もちろん、放射性物質による害は成人にもあてはまることだ。

ついでに、もう一つ重大な話をしよう。ストロンチウム90から出来るのが、イットリウム90だ。これは骨じゃなくて、すい臓に集中する。すい臓というのは、糖尿をおさえるホルモン、インスリンを分泌しているから、ここに異常が出ると糖尿病になる。世界中で、糖尿病が急増しているのは知ってるね。日本は、すでに人口の割合から言えば、アメリカの二倍もいる。そのアメリカだって、イギリスより率が高いのだ。日本では、戦後から現在にかけて、すい臓がんが12倍にもふくれあがっている。50年代の終わりにドイツの動物実験で発見されたのが、ストロンチウム90が電子を放出してイットリウム90になると、骨から肺、心臓、生殖器などに移動するのだが、すい臓に最も高い集中見られたのだ。インスリンがうまく生産されないようになって、血糖値が上がってしまうのだ。今までは放射能が糖尿病と繋がっているなんてまったく認知されていないのだ。これで分かっただろう、国際放射線防護委員会(ICRP)は、当初、放射能の影響として、特定のがんと奇形児くらいしか認めなかったのだ。未熟児、乳児の死亡や、肺、心臓、すい臓、これらの部位への影響はすべて無視されてきたのだ。


海を守ることは、とても大事なトピックだ。我々が予測できなかったエピソードをもう一つ、教えてあげよう。昔、科学肥料が海に流れ込んで、藻が異常発生すると、魚貝類の酸素を奪ってしまうと疑われていた。その結果、酸欠になった魚や貝が死んでしまう訳だ。ミシシッピ川が流れ込むメキシコ湾で藻が大量発生したときは、窒素、つまり酸化窒素を含む化学肥料が原因だと思われていた。でも最近、新たに分かったことは、キセノンやクリプトンなどの放射性ガスのエネルギーが、大気の酸素と窒素を反応させて、酸化窒素をつくることが分かったのだ。雨が海に運んでくる土砂が化学肥料と同じ役割を果たして、間接的に魚の酸素を奪ってしまうのだよ。この容量で、原子力発電所は、酸化窒素だけでなく、酸素原子が三つくっついたオゾンもつくっている。つまり、原子力発電所が藻の激増に繋がっていることも、誰も予想できなかったことの一例だ。

だから、発電所が出す液体廃棄物は、始めは誰もが海は広いし、とても深いので、人間社会にはまったく影響がないと計算していた。しかし、先ほどから言っているように、微量だから大丈夫ということは決して有り得ない。また、Busby氏らの発見が論文で細かく発表されたように、海に放出した放射性物質は、必ず波に乗って浜に返ってくる。イギリス、ウェールズ、スコットランドの原子力発電所付近の砂浜でも、このことが確認されたのだ。日本でもきっと同じことが起きているだろう。海水で薄まると期待していた放射性物質が、波に運ばれて返って来て、それが雨にも混ざって、また土の中にも入ってくるのだ。

原発事故の後、中止されていた福島県沖のヒラメの漁が5年半ぶりに再開しました。

 ヒラメは福島県が行ってきた放射線の個体調査で安全性が確認されたことから、2日からいわき沖と相馬沖で試験的な漁ができるようになりました。この時期は海水温が高いため水揚げ量は少なめでしたが、漁師たちは5年半ぶりのヒラメの水揚げを喜んでいました。
 いわき市漁協・江川章組合長:「初航海だから、うれしいよ。ようやく9月から解禁ということで、これから10カ月、頑張る」
 原発事故の前、「常磐もの」として首都圏などで高値で取引されていた福島県いわき沖のヒラメ。漁は来月末以降に最盛期を迎えるということです。



福島沖のヒラメ漁が解禁となりましたが、依然として福島第一原発付近の魚介類からは放射性物質が検出されています。

東京電力が今年8月に発表した放射能汚染調査でも、ヒラメからはセシウム137が27ベクレルも検出されていました。マコガレイになると一キログラムあたり1000ベクレルを超えるような高線量も見られ、福島沖の漁再開は時期尚早だと言えるでしょう。


桃は 大手ビールメーカーが
 チューハイに

 魚は何処が 練り物にして

 大儲けするのだろう・・・?

深刻な放射能汚染の福島県沖なんて、永久の禁漁区だろうが。それどころか、太平洋全域が危険になっているのだ。アメリカ西海岸では、シャチが大量死している。海水浴も禁止しているのにな。
わが祖国は、どこまで愚かなんだ。国民にこのようなものを食わせている日本政府は、日本国民の全滅計画を遂行しているに違いない。

★食べたから、こうなった。

日本は、もうダメです これが日本の現実。 駅で、道端で、乗り物の中で倒れている人がいるなんて、今まで見たことも聞いたこ



もし戦争が起きたら、ビジネスと経済はどうなるのか 『「教養」として身につけておきたい 戦争と経済の本質』
http://diamond.jp/articles/-/100786
2016年9月5日 要約の達人 from flier  ダイヤモンド・オンライン

戦後70年を過ぎ、多くの日本人にとって戦争は遠い世界の出来事に感じられる。しかしながら、現政権下での安保法制の成立や憲法改正への動きの中で、戦争は必ず取り沙汰される重要なテーマでもある。また、武器輸出に関わる軍需産業や在日米軍の問題について考えれば、戦争は日常生活の延長線上にあるともいえる。とはいえ、戦争をめぐるこれらの議論はともすると感情論的になってしまうため、辟易している人も少なくないだろう。

 本書は、我々が戦争というものを理解するための1つの指標を示すことに注力した一冊だ。経済評論家であり個人投資家でもある著者の加谷氏は、戦争とお金の間には、切っても切り離せない密接なつながりがあると考えている。戦争を経済という側面から捉えることで、感情的にならず、それと冷静に向き合うことができるというのが、著者の主張だ。

 過去の戦争を振り返りつつ、経済政策や戦費、株価などの具体的な数値から日本と諸外国を比較、分析することで、戦争と経済の関係を丁寧に説明した好著である。加えて、誰もが一度は耳にしたことがある「地政学」について、非常にわかりやすく解説している点も注目に値するだろう。将来の戦争を見据え、IT技術などのテクノロジーの発達が、これからの時代の戦争に大きな影響を与えるという指摘も興味深い。

 本書を読んで、経済、地政学、テクノロジーが戦争にどのように作用するのかを理解すれば、今後の世界情勢と経済動向を見極めるために大いに役立つはずだ。 (櫻井 理沙)


■著者情報

加谷 珪一(かや けいいち)
経済評論家

宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は、金融、経済、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。

著書に『お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか』、『億万長者の情報整理術』、『お金は「歴史」で儲けなさい』(以上朝日新聞出版)、『お金持ちの教科書』(CCC メディアハウス)、『株で勝ち続ける人の常識、負ける人の常識』(KADOKAWA)などがある。


■評点(5点満点)





■本書の要点

・一国の経済力は戦争遂行能力に直結しており、戦争に勝つためには豊かで活発な消費経済の存在が不可欠である。

・戦争や経済には、各国の関係性や地理的特徴が密接に結びついている。だからこそ、各国の政治指導者や軍関係者たちは熱心に地政学を学んでいる。

・IT技術の発達により、軍隊のオペレーションや物資の調達、お金の流れが変化している。新しいテクノロジーと金融システムの両者を制覇できた国が、次世代の覇権国家となるだろう。


■要約本文

■戦争とお金の関係
◇GDPに占める軍事費の割合

 戦争には多額のコストがかかると言われているが、実際にどのくらいのお金がかかるのだろうか。

 戦争の現実はお金そのものであり、平時における軍事コストはGDPとの比較によって把握できる。各国のGDPに占める軍事費の割合は、米国は3.5%、中国は2.1%、日本やドイツは1.0%程度である。一般的にGDPの1%から3%程度の範囲が適正水準といえる。

 中国をはじめとするアジア各国が軍事支出を年々増大させる一方、日本の軍事費(防衛費)は過去20年間ほとんど変わっていない。その理由は2つある。1つは日本政府が防衛費に上限を設定する政策を長く続けてきたこと、もう1つは日本がまったく経済成長していないことである。

◇有事の際の軍事費

 大規模な戦争となるとその費用は平時と比べてケタはずれになる。日清戦争の際の日本の軍事費は当時のGDP比の0.17倍、日露戦争では0.6倍であったが、太平洋戦争では8.8倍にもなっていた。太平洋戦争は日本の経済力を無視した戦争であり、当然通常の手段では戦費の調達は不可能だった。この戦費のほとんどは日銀の直接引き受けによる国債発行で賄われた。

 一方、米国の第二次世界大戦の戦費総額は、GDP比の3.2倍であり、日本と比べると相対的な負担はかなり軽かった。米国はその後、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争という大きな戦争を実施しているが、各戦争の戦費負担はすべてGDP比の15%以内に収まっている。冷静に数字を見ると、少なくとも経済的にはそれほど大きな影響はなかった。

◇具体的な戦費の使途

 2014年の米国の軍事費の内訳を例に挙げると、燃料や資材など軍事的なオペレーションの実施に必要となる経費が34%と最も多い。その後に、人件費23%、装備品の調達費16%、研究開発費11%と続く。兵器のハイテク化が進み、人件費の割合は低下している反面、装備や関連技術に対する支出が増加している。

■戦争とマクロ経済の関係
◇GDPの中身は、消費・投資・政府支出

 GDPの支出面は大きく分けて、個人消費、設備投資、政府支出に分かれる。普段あまり意識されないが、経済に占める個人消費の割合は絶大であり、個人消費が活発にならない国は強い経済を運営することができない。少し逆説的だが、戦争に勝つためには、豊かで活発な消費経済の存在が不可欠である。

 また、投資は今年のGDPの数字に貢献するだけでなく、将来のGDPを生み出す原資でもある。消費と投資のよいバランスが作り出されると、経済は順調に回り始める。

◇戦争がGDPや金融市場に与える影響

 戦争が発生するとGDP項目における政府支出が増えるが、多くの場合この資金は借り入れによって調達されるため、経済全体に様々な影響を及ぼす。例えば、国債の大量発行は金利を上昇させ、国内の設備投資を抑制するので、経済成長にとってマイナスの要因となり得る。また、大量の国債を中央銀行が直接引き受けるとなると、市中に大量のマネーを供給することになる。すると通貨の価値は減少し、ほぼ確実にインフレを誘発する。

◇株価は経済の先行指標

 株価が上がるということは、多くの人がその企業の将来の売上や利益が増えると予想しているということである。これが一国の経済全体ということになると、その国が将来生み出す収益の期待値が株価となって現れるということになる。つまり、戦争によって将来の経済的な収益がどう変わるのかという予想の集大成も、株価に反映されることになる。

◇過去の戦争における株価

 太平洋戦争中は日本政府が無尽蔵の資金を投入して株を買い支え、株価の暴落を防いだが、実質的に株式市場は凍結状態で終戦を迎えることになった。こうした行為は、最終的に日本円の減価という形で帳尻をあわせなければならず、戦争中に顕在化しなかった影響は、戦後の準ハイパーインフレという形で爆発した。政府は強硬的な政策でいったんこれを収束させたものの、さらに「復興インフレ」や「ドッジライン不況」などが起こってしまった。

 経済の冷え込みを一変させたのは、1950年に発生した朝鮮戦争のための特需である。1951年から1953年の3年間で、米軍から日本企業へ10億ドルを上回る注文が出された。これより、日本経済は外貨を豊富に入手することができ、大きな経済成長を遂げ、ようやく株価も復活した。

■地政学を理解すれば世界の動きが見えてくる
◇地政学とは

 地政学とは、地理的な位置関係が国際関係や各国のパワーバランスにどのように影響するのかを考える学問分野であり、各国の政治指導者や軍関係者にはかなり浸透している。

 地政学の提唱者であるマッキンダー氏は、ユーラシア大陸の中でも中国の西部(チベットなど)やモンゴル、アフガニスタン、さらにはロシア南部から東欧の一部までのエリアをハートランド(心臓地帯)と呼び、特別な場所と見なした。というのもこのエリアは、河川を使って太平洋やインド洋、地中海に出ることができないという独特の地理的特性を持っており、海上輸送という既存の交通インフラから完全に切り離されているためだ。

 そしてもう1つの重要な概念は、シーパワーとランドパワーである。シーパワーは海軍力を基本として海上輸送システムをスムーズに運営する能力であり、ランドパワーは陸軍力を基本として陸上交通システムをスムーズに運営できる能力である。シーパワーを主体とする国(英国や米国など)は、隣国とは海で隔てられているため、防衛よりも海を使って貿易を行い、富を増やすことに熱心になる。一方ランドパワーを主体とする国(ロシアなど)は隣国と地続きであるため領土保全を最優先に考えざるを得ず、どちらかというと閉鎖的でビジネスには消極的になる。両者は地政学的状況が異なっているため、極めて相性が悪く、利害が相反する。

 そして、ハートランドの周縁部であり、シーパワーとランドパワーがぶつかる三日月型の地域はリムランドと呼ばれている。朝鮮半島やアフガニスタンがその代表例で、地政学的にみて紛争が起こりやすい地域とされている。

◇テクノロジーは地理的条件を凌駕する

 地理的な条件は時代が変わっても変化しないが、テクノロジーの発達によって地理的な関係が意味するところは変化しうる。インターネットが発達した現代では、FacebookやLINEなどのSNS、ビットコインに代表される仮想通貨などが地政学的条件を徐々に変えている。情報インフラや金融システムを掌握すれば、地政学的にも優位に立てる可能性がある。

◇米国の経済・外交政策は地政学で決まる

 米国が覇権国家として振る舞うようになった理由の1つは、中東の原油を確保するためである。しかし将来的にエネルギーを自給できる見通しが立ったことで、米国が方針転換する可能性が高まっている。

 一方で、目覚ましい経済成長を遂げ、シーパワーの色彩の濃い国に変貌しつつある中国は、東シナ海や南シナ海の海洋覇権に異様なこだわりを見せている。これに対し米国は、ユーラシア大陸の安定が確保されれば良いという基本政略から、中国と協調路線を選ぶ可能性が十分にある。米中両国がアジア太平洋地域の安全保障についてある種の合意に達すれば、日米安保はその存在意義を失い、日本近辺の安全保障が中国に委ねられてしまう可能性もゼロではない。

■戦争が起きたとき、ビジネスはどうなるか
◇米国と日本の軍需企業と株価

 アメリカの軍需企業には、ロッキード・マーチン、ボーイング、レイセオンなどがあり、そのほとんどが軍需部門に特化している。本格的な戦争の際には、こうした軍需企業の株価の動きも激しくなる。過去を振り返ると、戦争の前から開始直後には期待感から株価が上昇し、現実に戦争特需が発生すると株価の上昇は鈍化する傾向がある。

 これに対して、日本の軍需企業は三菱など旧財閥系の総合企業であり、圧倒的に民間部門の売上が大きいという特徴がある。そのため、このような軍需企業の株価は、日本の防衛費の推移や地政学的動向よりも、あくまで戦争による一般的な経済動向を反映する傾向にある。

◇戦時統制経済の実態

 日本では太平洋戦争時に軍需企業の事業を優先させるために、いわゆる戦時統制経済が導入された。その結果、特定の企業に利益が集中してしまい、経済全体の構造を歪ませた。「国家総動員法」が成立してからは経済統制がさらに強化され、株価の暴落を阻止するために、政府は株を買い支えなければならなくなった。

 さらに、軍需会社法により、政府が指定した軍需企業に優先的に資金が割り当てられ、前渡し金などの制度が適用されることになった。しかし最終的には物資が不足し、いくらお金をもらっても納品することができないという状況に陥ってしまった。

◇預金封鎖と財産税

 無理な戦争遂行の結果生じた戦後のインフレを収束させるために行われたのが、預金封鎖と財産税の課税である。日本銀行券預入令を施行しすべてのお金を銀行に預けさせた後、封鎖した預金に対して25%程度、高額預金者には最高で90%もの税金を課した。これによって多くの国民が資産を失った。一方、政府は国民から強制的に税金を徴収することで莫大な借金を返済し、財政をなんとか立て直すことができた。

【必読ポイント!】
■これからの戦争の勝敗はITで決まる
◇ITの浸透

 世界は今大きな転換点にさしかかっており、その変化はITを鍵として水面下で進んでいる。ドローンや3Dプリンタなどのテクノロジーと戦争、あるいは経済力と戦争の関係がより密接になり、実際に戦う前から勝敗が決まってしまうという現実が、戦争を少なくする原因の1つになっている。

 また、ITを使った情報収集や分析手法を駆使することで、中央集権的なオペレーションよりも、現場判断を重視したオペレーションのほうが戦果を上げやすくなっている。こうした変化は、人工知能技術の発達でさらに加速していくだろう。技術の発達により、軍隊のオペレーションの概念は確実に変わっている。今後、物資の調達やお金の流れも変化していくと予想される。地政学的な理解にも修正が必要となってくるかもしれない。

◇グローバルにならなければ戦争には勝てない

 高度にIT化された社会では、軍事技術と民生技術の垣根は限りなく低くなる。グローバルな資本参加やM&Aが当たり前になった市場では、相互に情報が交換され、厳密な意味での重要情報の囲い込みは不可能になる。敵・味方という単純な思考回路では対処できなくなり、相対的により多くの資金や情報を集めている国が優位となる。

 最終的には、新しいテクノロジーと金融システムの両方を制覇できた国が、次世代の覇権国家となるだろう。


■一読のすすめ

本書は戦争というものを、あくまでも経済的な側面から客観的に分析することにこだわった一冊だ。過去を冷静に振り返り、将来を予想するための基礎的な「教養」を身につけたい方に、特に一読をお薦めしたい。また、戦中戦後の経済危機をチャンスに変えた人々や、戦争中に横行した賄賂のエピソードなども随所に盛り込まれており、そちらも興味深い内容となっている。

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