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安倍晋三のいいなり,腹話術的なお人形さんの防衛大臣になにができる?

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【おもちゃの兵隊さんならぬ,安倍晋三のいいなり,腹話術的なお人形さんの防衛大臣になにができる?】

【単細胞的政治家の極右女性大臣が「憎っくき北朝鮮」のテポドン1発も迎撃できない自衛隊3軍の「いったい・なにを指揮する」というのか?】

【政権ゴッコに終始する安倍晋三政権をまともに論説も批評もできない日本のマスコミ】


 ① ま え お き

 本ブログは昨日〔8月5日〕の記述中 ⑥ で,『朝日新聞』朝刊の関連する記事として「『歴史認識,答える立場にない」〔と答えた〕 稲田防衛相インタビュー」をとりあげてみた。これは行論の都合上,その〈稲田朋美の発言〉の記事のある段落にのみ触れることになっていた。こう言及していた。
    安倍晋三は第3次再改造内閣を組閣していたが,この防衛大臣に稲田朋美を据えていた。この稲田は安倍晋三自身が気に入って政治家に調達していた人材である。安倍好みであるからこの稲田のお里はしれている。
 ところが,昨日『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』をのぞいていると,この稲田朋美が防衛大臣に任命された事実について,「海外(とはいっても英米)の主要報道機関」が,どのようにとりあげているかに注目し,論評する記事が出ていた。日本のマスコミ(メディア)がほとんどとりあげようとしない論点に注目し,その視点から報道している,と指摘した記事である。
 ②「稲田朋美防衛相の軍国主義思想にロイター,APなど海外メディアが一斉に警戒感! でも日本のマスコミは沈黙」(『LETERA-本と雑誌の知を再発見-』2016. 08. 05)

 第3次安倍再改造内閣で安倍首相が防衛相に任命した自民党・稲田朋美衆議院議員。8月4日,就任後初の会見で,日中戦争などが日本の侵略戦争だとの認識があるか質問され,こう答えた。「侵略か侵略でないかは評価の問題であって,いちがいにはいえない」。「私の個人的な見解をここで述べるべきではないと思います」。
 補注)個人的な見解が個々人の政治家の意識や行動として反映され,これが実際の政治そのものを構成する要因となって展開されるのが「政治そのものの実相」である。にもかかわらず,なにかまずいことがあるらしく,その肝心なところをそらして語らず逃げている。それだけのことである。この稲田朋美は極右の政治思想の持ち主として,いわば札付きだとまでいってよい人物である。

 つぎにかかげる画像資料は画面のなかに出典(出所)が記入されているが,いまから2年ほど前の報道写真である。写っている男性に関連しては次段のように記述されていた。
稲田朋美・高市早苗ネオナチとのツー・ショット写真画像
出所)http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/09/takaichi-nsjap_n_5794660.html

 この「問題の写真は,2011年6月から7月にかけて,NSJAPの山田一成代表が議員会館にいったさいに撮影されたもので,高市氏のほか,自民党政調会長の稲田朋美氏,副幹事長の西田昌司氏の3人とのツーショット写真がNSJAPの公式サイトに掲載されていた。現在,該当ページは内容が変更されている」。

 「『国家社会主義日本労働者党』(NSJAP)」とは,その「公式サイトの記述によると,1982年に発足した。ナチ党と同様,国家社会主義思想や反ユダヤ主義をかかげ,ホロコーストの否定や外国人労働者の排斥などを訴えている」極右政治団体である。

 「国際的にも波紋が広がっており,イギリス紙『ガーディアン』は〔2011年〕9月9日,「ネオナチ写真が安倍首相のために頭痛を引き起こす」という記事のなかで,「これらの政治家が山田のネオナチ思想を共有しているという証拠はないが,安倍政権の右傾化がますます進んでいるという非難を加速させた」と報じている。(記事引用はひとまずここで中断)

 もっとも,いまでは「ネオナチ写真が安倍首相のために頭痛を引き起こす」こともなく,このような写真はいちおう忘れされているのかもしれないが,話題にとりあげられていた稲田朋美(防衛大臣に新規就任)とともに高市早苗は,今回の改造内閣でも総務大臣に留任していた。

 敗戦後70年が経過した極東(ドイツからみたらたしかに,far eastである)の日本国内においてもそれなりに,21世紀の現在において「国家社会主義政治団体」を名のる代表者との「記念になるお写真を撮っていた」という感覚が問題である。その政治的な志向性がどこにいこうとしているかは,説明の余地もないくらい明瞭である。稲田朋美や高市早苗は,山田一成に面会したとき「名刺」くらいは受けとっているはずである。相手が誰かよく判りもしないで面会するのか?

〔記事の引用に戻る→〕 曖昧な回答で明言を避けたのは,本音では日本の侵略や戦争責任を否定したい歴史修正主義者だからにほかならない。実際,稲田氏は自民党きっての極右タカ派で,安倍政権による戦前回帰の旗振り役。本サイトではこれまで,稲田氏の経済的徴兵制推進など,その軍国主義丸出しの発言の数々を伝えてきた。ところが,こうした稲田氏の極右政治家としての本質を,日本のマスコミ,とくにテレビメディアはほとんど触れようとせずに,ただ “将来の総理候補” ともてはやすばかりだ。
 補注)『朝日新聞』と『日本経済新聞』をみたかぎりでは,両紙ともに8月5日の朝刊に「稲田朋美に対するインタービュー」を掲載していた。この女性政治家が安倍晋三君の後継者候補とは恐れいるが,この話題じたいとしては妥当な路線を走っていくような光景である。『日本経済新聞』8月5日朝刊3面に掲載された「〈中韓と協力関係を 稲田防衛相インタビュー 〉」記事の見出しは「侵略,一概に言えず」/靖国参拝『心の問題』」と付けられていた。「靖国参拝『心の問題』」という発言は陳腐である。宗教にかかわる問題はすべて「心(信心)の問題」。実質的には,なにもいっていない発言である。

 しかし,そんな国内マスコミとは対照的に,世界のメディアはその危険性を盛んに報道している。

 a) たとえば,英タイムズ紙は8月3日付電子版で,「戦中日本の残虐行為否定論者が防衛トップに」(Atrocity denier set to be Japan’s defence chief)との見出しで,冒頭から稲田氏について「第2次世界大戦中の日本の残虐行為の数々に異議を唱え,日本の核武装をも検討すべきとする女性」と紹介した。
タイムズ2016年8月3日稲田朋美画像
 註記)http://www.thetimes.co.uk/article/right-wing-woman-in-line-for-japan-s-top-defence-job-zvf8sk5w0 写真もここから。

 b) また英ロイター通信も,8月3日付の「日本の首相は経済回復を誓いながらも,新たな内閣にタカ派防衛相を迎える」(Japan's PM picks hawkish defense minister for new cabinet, vows economic recover;註記))という記事で,稲田氏の写真を冒頭に掲載し,大きくとりあげている。
REUTER2016年8月3日画像
 註記)出典は,http://uk.reuters.com/article/uk-japan-politics-cabinet-named-idUKKCN10E0IE 写真もここから。

 「新たに防衛相に就任する稲田朋美(前・自民党政調会長)は,日本の戦後や平和憲法,日本の保守派が第2次世界大戦の屈辱的な敗戦の象徴として捉えている平和憲法や戦後をあらためるという安倍首相の目標を分かち合っている」。

AP通信稲田朋美画像 c) さらに米AP通信は8月3日付で「日本が戦争の過去を軽視する防衛トップを据える」(Japan picks defense chief who downplays wartime past;註記))という記事を配信し,ワシントンポスト紙などがこれを報じている。

 記事のなかでは稲田氏を「戦中日本のおこないを軽視し,極右思想(far-right views)でしられる女性」「国防についての経験はほとんどないが,安倍首相のお気に入りの1人」と紹介。そして「慰安婦問題など戦中日本の残虐行為の数々を擁護し,連合国による軍事裁判を見直す党の委員会を牽引してきた」と書いたうえで,在特会などヘイト勢力との “蜜月” についてもこのように伝える。
 註記)http://bigstory.ap.org/article/4e2d357b6d2841c69a11bcde10870c0c/japan-pm-picks-revisionist-defense-chief-new-cabinet 写真もここから。

 「稲田氏の悪名高い反韓団体とのつながりについて,今〔2016〕年,裁判所は稲田氏の主張を退けて事実と認めた。また2014年には,稲田氏が2011年にネオナチ団体トップとのツーショット写真を納めていたとみられることも表沙汰となった」。くわえて,今回の内閣改造が安倍政権の改憲への助走であることにも触れ,なかでも稲田氏は日本の平和憲法を強く敵視してきたことをコンパクトにまとめている。

 「安倍晋三首相は19人の閣僚の半数以上を変えたが,それは戦後日本の平和憲法を改訂すると同時に,安倍政権の安全保障や経済政策をサポートさせるためだ」。「57歳の稲田氏は,安倍首相の悲願である憲法改正の協力者である。稲田氏は,現行憲法は日本の軍隊を禁止していると解釈できるとして,戦争放棄を謳う9条を部分的に解体すべきと主張してきた」。

 こうした海外の報道は,稲田朋美新防衛相の極右思想がもたらす国際関係の緊張に対する,世界の深い危惧を表わすものだ。しかし,国内メディアといえば,たとえばテレビでは『報道ステーション』(テレビ朝日)などごく一部を除き,この稲田氏の危険性,そして彼女を防衛相に任命した安倍首相の真意についてつゆほども触れようとはしない。よしんば彼女の極右性に触れたとしても,それは「中国や韓国が懸念を示しています」という程度で,まるで,安倍政権がしかける対立構造の深化に手を貸しているようにすらみえる。

 その背景には,もちろん報道圧力を強める安倍政権を忖度する放送局の姿勢があるのだろうが,それにくわえて,稲田氏が “ネット右翼のアイドル” であることも関係しているのではないか。周知のとおり,稲田氏はその極右発言の数々でネトウヨから「稲田姫」などともてはやされている。

 その絶賛ぶりはネットの有象無象の声をみればあきらかだ。テレビメディアはいま,政権からの有形無形の圧力にくわえ,こうしたシンパからの抗議電話,いわゆる “電凸” に怯えており,その影響はあの池上 彰氏も指摘していることだ。
 補注)「電凸・電突(でんとつ)」は,企業・マスコミ・宗教団体・官庁・政治家・政党などに対して電話をかけるなどして,組織としての見解を問いただす行為のこと。「電凸を行う主体」は一般市民である個人,または一般市民の声を代弁する(と自認する)団体である。同じ内容を同じ相手に問いただしても,報道機関やジャーナリストがおこなうものは「取材」であり,一般的に電凸とは区別される。

 電凸は,単なるクレームや中傷,イタズラ電話ととられないよう,電凸をおこなう者が事前に公開質問状をメールやファックスで送付するなど身元を相手に明らかにして「正々堂々と」電話をかけることも多い。裏を返せば電凸と単なるクレーム(苦情)行為は紙一重であり,明確に区別できない場合も多い。

 電話の場合,通話料の負担を避けるため電子メール等による突撃もおこなわれる。電子メールを用いて行うものをメル凸などと呼ぶことがある[4][5]。電凸した事実と経過を明らかにするために通話内容などを秘密録音し,やりとりの記録や音声ファイルなどをインターネットなどを通じて公開するケースも多い。

 不用意な電凸やメディアのアップロード行為は,刑事訴追や民事訴訟の対象となる場合がある。電凸は日本に限らず,アメリカ合衆国や韓国でも報告されている。かつては個人が抗議しようとしても,窓口に苦情電話をかけたりビラをまいたりする程度が限界であったため,「おかしい」という思いが不特定多数に同時に共有されることはほとんどなく,広がっても各種市民団体や消費者団体が電話取材・公開質問状の提出などを行う程度であった。

 1990年代後半以降,インターネットの普及によって個人が意見や証拠を発信することが一般的になると,個人レベルでも「電話対応の録音と公開」「文書の公開」「まずい対応の(掲示板やまとめWiki,SNSなどを用いた)組織的な追及」が可能になり,追及の手段としての電凸が定着した。

 いくつかの有名な電凸の実例のうち,なかでも「朝日新聞の慰安婦誤報問題に関連した北星学園大学への電凸(2014年)」を挙げておくが,この場合,その電凸の実行者は,当該被害者である植村 隆朝日新聞元記者に提訴され,完敗していた(その裁判について本ブログは,昨日:2016年8月「従軍慰安婦問題に対する『読売新聞社の基本姿勢』は欺瞞と不誠実に満ちている-この新聞社には原発導入問題についても深い歴史責任がある」で言及している)。
 註記)以上,https://ja.wikipedia.org/wiki/電凸 参照。

〔記事の引用に戻る→〕 安倍首相の覚えがめでたい有力議員で,かつ,大量のシンパを抱える稲田氏についてつっこんだ報道をしないのは,そのためではないかと思わざるをえない。要するに,AP通信などが稲田氏とヘイト勢力の蜜月を批判的に報じたのとは対照的に,むしろ国内メディアは,彼女がヘイト勢力やネトウヨに “庇護” されているがゆえに,その危険性をネグってしまっているのではないか。だとすればこれほど奇妙な反転はないだろう。

 こうしたメディアの状況を,稲田氏は十分に心えているはずだ。近年では極右発言だけでなく,ゴスロリのコスプレを披露してオタク層にアピールしてみたり,性的マイノリティの日本最大のイベント「東京レインボープライド2016」に出席してLGBTへの理解を示すポーズを打ち出だすなど,新たな支持層の拡大に躍起となっている。

 しかし,騙されてはいけない。稲田氏はバリバリの表現規制派であり,雑誌でも「男らしさ」「女らしさ」を強調してジェンダーフリーバッシングに明け暮れてきた。そしてなにより,彼女は本音のところでは, “隠れ徴兵制” 論者でもある。「教育体験のようなかたちで,若者全員に一度は自衛隊に触れてもらう制度はどうですか」(『正論』2011年3月号,産経新聞社)と提言したことが象徴するように,最終的には,国民を兵役に就かせ,戦地に送りこむことを狙っている。
 補注)「通常」においてよくある事例としては,女性差別は男性がしばしば起こす差別問題だと相場が決まっているようではあるけれども,実はこのようにネオ・ナチ風に,それも弁護士資格をもち,その方面で弁護活動をおこなってきた稲田朋美が「女性が女性を差別する政治思想」を,なんの臆面もなく「女性〈性〉の衣の下に隠して行動する」記録を残しつつある。だから,この記事を書いている記者は,稲田朋美の演技に「騙されてはいけない」と警告している。

 海外メディアからの懸念に対して,みてみぬ振りを決めこむ国内マスコミ。今後,安倍政権のタカ派政策によって,日本はますます世界から孤立していくだろう。いま,保身に走っているメディアは,その片棒を担いでいるのだ。これから私たちは,そういう視点で国内のニュースに向き合わねばならない。
 
 
 自民党政調会長・稲田朋美氏は「戦争は人間の霊魂進化にとって最高の宗教的行事」という教えを説いた谷口雅春氏を「ずっと自分の生き方の根本」においてきたという。稲田氏が次期総理になれば,日本国民の「霊魂進化の最高の宗教的行事」として戦争を開始する可能性は高い。集団的自衛権はそのための不可欠の道具となろう。日本列島1億2700万人が「霊魂進化の最高の宗教的行事」=戦争によって総高級霊となる日は,案外,近いかもしれない。                        
 --この発言のとおりだとすれば,これはほとんど狂気の沙汰であり(キチガイに近い),いわゆるカルト的な精神構造を隠していない。もっとも,この程度の調子・内容からなる「名」文句は,戦前・戦中の日本社会のなかには溢れていたから,なにも稲田朋美だけを非難するのは当たらない,という解釈もできなくはない。

 しかし,いまは2016年の夏である。いくら熱い夏だからといっても,この稲田朋美のような迷文句を聞かされた分には,こちらの頭脳の中身がおかしくなりそうにもなる。
 欧米なかでもとくに先進的な位置にいるヨーロッパ諸国では,いまさらのようにネオナチ的な政治勢力が伸してきている動向もあるものの,しかし,政府や社会そのものからの視線・態度は,非常にきびしく対応する基本姿勢のもとにある。ところが,日本ではどうなっているかといえば,安倍晋三政権になってからは,その極右・反動の女性政治家たちが政府の主要閣僚にくわわっている。こちらの事実・要件を観察すると,「戦後レジーム」からの「みかけの脱却」だけは,成就しつつあるかのように感じられる。

 昨日〔8月5日〕の本ブログ記述では最後のほうで画像資料として紹介していた文献である一本松幹雄『国を滅ぼすタカ派の暴論-ストップ! 戦争への道-』(明石書店,2011年)は,いまから80年前後も以前の話題を,こう記述している。
   〔敗〕戦後のドイツの歩みを評価するとき……,かつて,ニュルンベルグのナチ党大会で示された元気あふれる情景は,結局,亡国への歩みとなったのに反し,今日のドイツは,人びとの生活を大事にし,近隣諸国との友好関係に,気を遣う,好ましい国へと生まれ変わったのだ(320頁)。
   ナチ党大会1934年ニュルンベルグ画像
 出所)http://blog.livedoor.jp/shyougaiitisekkeisi2581/archives/cat_50028528.html(画面 クリックで 拡大・可) ↑ 開催の日付は左下に記入されている。
 日本はどうか? 21世紀のいまになって,現在のドイツとは正反対の方向に歩みだしている情景を,みずから進んで〔喜んで?〕描きはじめている。どこまでも「愚かな国」である。この国はいま,安倍晋三君が首相をやっている国なのである。

 敗戦後以来の『日本国の国家体制としての甘さ』は,占領軍があえて許してきた『それ』であった。天皇・天皇制を残置させた措置と裏腹の問題が,21世紀まで観過しえないほどに〈大きな禍根=負の成果〉を残した。いま,安倍晋三政権がその負の成果を「正の未来」にできるといったふうな,みごとなまでの「偉大なる勘違い」を犯しながら,この国にまだ保存できている〈良さ〉を倒壊させ消滅している最中である。

 ③「[書評]今野哲男稿,内田 樹・白井 聡著『属国民主主義論』」(http://webronza.asahi.com/culture/articles/2016072700007.html?iref=wrp_rnavi_new を参照しての若干議論)

白井 聡・内田 樹表紙画像 この内田 樹・白井 聡著『属国民主主義論』に対する書評であるが,そのなかからつぎのように論点を拾いあげ,少し考えてみたい。

 ここで注目するのは,a)「敗戦の否認」,b)「アメリカのプレゼンス」,c)「仮構された(底の浅い)民主主義」の3つが絡みあって成立したのが「属国民主主義」だと,ひとまずまとめて差し支えないと思う,と指摘されて〔語られている〕いる箇所である。本ブログ筆者は,以下のように議論しておく。

 a)「敗戦の否認」という観点に関しては「東京裁判史観の否定」「安倍晋三流の〈戦後レジーム〉からの脱却」がいとも簡単に・軽く口にされてきた。ところが,実際においては対米従属路線をアメリカの指示どおりに走らされている実情(裏事情としての日本国の真実の姿)は,安倍晋三政権にあってもなんら変化はない。ある意味では,対米従属の基本姿勢にもっとも忠実な路線において日本国を運営しているのが,この安倍晋三君である。

 この政権のなかであるゆえ,棚田朋美のような極右の弁護士出身の女性政治家が「戦前・戦中におけるような女性の立場・地位」を「よしとする封建思想の持ち主」として遊泳していられる。だから,時代錯誤だいってそのままに済ませておけるような大臣の人事(内閣改造の事態)ではない。このような人物を防衛大臣に据える日本国内閣の陣容は,異常・異様を通りこしており危険であると断定・批判されて,あまりに当然である。いまや,安倍晋三政権の本質がよりいっそうあからさまに露出された。

 敗戦を体験した大日本帝国であったが,結局,敗戦にまでに至った「明治史からの歴史的な意味,その真義」を,「彼ら」はなにも学ぶことができていない。敗戦後の70年間をなんとなく過ごしてきたらしい。敗戦とその直後における日本国の辛い政治・経済の過程・状況からは,実感的には縁遠い自民党の政治家たち(安倍晋三をはじめ世襲の政治家が非常に大人数いる)が執権している。しかし,戦争体験がなければ当時の辛さを思いだせないというのは,「歴史教育」そのものになにか問題があるからである。ただし,自民党の世襲政治家たちは「戦前・戦中をすばらしい時代」だと,誤導的に洗脳されてもいるから始末に悪い。

 戦前・戦中における日本の政治・経済・社会・文化・伝統を「回帰すべきすばらしい理想になりうる」かのように観念できる安倍晋三一族郎党の《現在的な時代感覚》は,歯車がズレているというより完全に壊れている。日本のマスコミがこの事態を真っ向から指摘し,批判できないのであるからこそ,外国のマスコミがわざわざ独自に論説・批評していた。情けない言論界の実情である。

 それでもわずかにであるが,自民党と連立政権を組む公明党の支持母体である創価学会系の月刊雑誌9月号に,大嶽秀夫稿「戦後日本が背負った負の遺産-大日本帝国,植民地,戦争。」という記事が掲載されていた。この文句「大日本帝国,植民地,戦争」というものの中身が,いまのこの時期,あらためて問題にされていいのである。いまの時代に生きる極右政治家が,その「大日本帝国,植民地,戦争」を懐かしがるようでは,これこそ正真正銘のアナクロ。

 ところが,安倍晋三政権はその種の方向に向ける「歴史教育」を,司馬遼太郎の歴史小説(フィクション)風の味付けのつもりか,現実離れの方途に向けて突きすすめている。国旗という幟に敬意を表したり,国歌を大声で斉唱したりする人間だけが愛国者だという「決めつけ」は完全に間違えている。かつての戦争中において本当の愛国者は,戦争に反対であった人たちである。

 くわえて,敗戦をくやしがる気持はある程度は分かるものの,それまでの日本の歴史をいまさらのように郷愁・旧懐・願望するだけの政治感覚は,ただ子供じみているだけでなく,20世紀後半史から21世紀初頭史までの世界国際政治の趨勢・方向性を,まったく認識できていないことを暴露している。こうした極右・反動・国粋・保守の,それも世間(国際政治の様相)しらずである「幼稚で傲慢」な自民党政治家たちが,現在まで大勢輩出されてきており,現に日本の政治を掌握している。

 極右・反動の政治家たちは,二言目には戦後教育が悪かったのだ,日教組がいけなかったのだ,社会党・共産党がまずかったのだなどといいはるけれども,いまはその真逆「以上」に極端に突っ走る自分たちの姿自身を,まともに自覚できていない。戦後教育は戦前・戦中の反省をたどってきた。たしかに日教組路線は左翼的にハデな活動をしてきた。だが,こんどはそれに対する反動ぶりとみたら,振り子が左から右へ振れるどころか,テッペンにまで調子づいて撥ね上がっている。

 b) 「アメリカのプレゼンス」に対しては,対米従属国家体制に無意識でいられる日本という「事実との〈組み〉」で理解する必要がある。安倍晋三君はこの事実主義を地でいっている1人であるが,当人の意識次元は「この日本国は〈ふつうの国〉」として十全に存立している「つもり」である。しかし,つもりはどこまでもつもりであって,米日安保条約体制・日米行政協定をもって,その外枠ががっちりとこの日本国を締めあげる関係を形成している。安倍晋三君も単にそのなかにはまりこめられている1人。

 c) 「仮構された(底の浅い)民主主義」に対しては,現政権がそのものズバリに表現している。麻生太郎副総理がナチスの真似をして独裁的政権にもっていけばいいと発言したのも,その裏づけとなる証言である。日本における民主主義の状態は,残念ながらこのように,まだ未熟であり未開とでもいうべき段階においてなお足踏みしている。

 棚田朋美とツー・ショットを撮影していた『国家社会主義日本労働者党』の坂田一成は,このような主張をしている。http://nsjap.com/jp/ から画像資料で紹介しておく。テロを推奨している。昭和戦前期の政治感覚そのものである。

 民主主義を完全に否定する考えを披露しており,こう書いてもある。「我々は10000人のデモ行進よりも,一殺の方を重んじている」。( ↓ 画面をクリックして拡大させると,読んでほしい文章の部分が明解に映る)
国家社会主義日本労働者党ホームページ
 これは,悪質とか犯罪的な思考であるとかいった以前の,単なるきわめて狂激な感性が明示されている。この人物といっしょにいまの防衛大臣の棚田朋美がツー・ショットを撮っていた。それゆえ,この映像の存在だけで優にスキャンダルでありうる。

 『安倍晋三首相による稲田朋美の大臣任命』を契機にあらためて,この事実をまともに問題にしえない日本のマスコミは,いったいマスコミだといえるのか? 「社会の木鐸」という表現はいまや古語と化した。前段に紹介したように英米のマスコミはただちに記事にしていた。

 d) 2013年9月に辺見 庸が語ったこと
 これもつぎの画像資料で読んでもらう。2年前となにもかわっていない「側」と,極端に変わりつつある「側」とが,日本国内には居る。前者はわれわれであり,後者は安倍晋三たちである。(画面 クリックで 拡大・可)
辺見庸2013年9月見解画像資料
出所)http://www.kanaloco.jp/article/64049

 ④ 追 記-韓国と中国の関連報道-

 1)韓国『ハンギョレ』紙
 『ハンギョレ』の「[ニュース分析] “極右保守” 稲田防衛相が韓日関係に広げる波紋」(登録 : 2016.08.05 23:44 修正 : 2016.08.06 06:37)は,a)「見出しの表現」と,b)「本文のひとつの段落」のみ引用しておく。

 a)「侵略戦争だったか」との問いに「評価の問題」 
   事実上,侵略戦争を否定する見解表明 
   慰安婦問題も「強制性なかった」 
   中国など周辺国との関係に悪影響憂慮 
   韓国政府当局者「ひとまず様子見」

 b) 稲田氏が就任初日から物議を醸し,彼女の防衛相任命に疑問を提起する日本国内の世論が強まるとみられる。日本では稲田氏に対して極右的歴史認識以上に,防衛分野の門外漢という点など能力に対する疑問を強く提起している。任命が決まった直後から「国会答弁をまともにできるか憂慮される」,「中韓との交渉に問題が生じうる」などの憂慮だ。
 註記)http://japan.hani.co.kr/arti/international/24817.html

 2)『人民網 日本語版』
 本紙(2016年08月05日10:21)は「米政府,日本の新防衛相に歴史問題の直視を間接的に促す」という記事も掲載していた。

 --毎日新聞によると,こうした発言は稲田氏が近隣国との関係に配慮し,言動をいくらか慎んでいることの表われだ。連立政権を組む公明党の山口那津男代表も「さまざまな影響を考えて,総合的に判断するべきだ」と述べた。

 米政府の姿勢表明も,稲田氏に歴史問題の直視を間接的に促している。稲田氏の防衛相就任について,米国務省のトナー報道官は「日本の内政だが,癒しと和解の姿勢で歴史問題を処理するべきだ。米国はこの点を引きつづき強調する」と述べた。
 註記)http://j.people.com.cn/n3/2016/0805/c94474-9095902.html

 以上のように,日本に対するアメリカ側の《教育的指導》が明確に指示されている。赤字にした文字部分の意味は,完全に「上から目線」(実質的に命令口調)である。ともかく稲田朋美は,安倍晋三君の口まねしかしません〔できません?〕といい,この新任の防衛大臣,殊勝にも慎重な発言である。だが,晋三君と同じ次元においてなにかを禁欲するにしても,結局のところ,いずれは問題を噴出させかねない「札付き極右」の大臣であることに変わりない。


<転載終了>

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