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Channel: 丹沢最高峰 蛭ケ岳1673回超えを目指して 
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日本の場合は、地震国だということを忘れては行けない。

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こんにちは、今日はよろしくお願いします。
S博士
「まずはじめに、日本には55基もの原子炉が運転している
のを知ってるよね。」

、、、はい。

S博士
「それに、ほとんどが海岸沿いの国土の2割程度の面積に
人口が集中していて、原発も割と近くに配置されている。
だから、日本政府が2003年度に発行した、過去100年の日本人の
死因の推移を見たとき、あまり驚かなかった。」

と言いますと。

S博士
「日本では、戦後の50年で、がんの死亡がずっと増え続けている。
1900年台の前半は、がんはそこまで存在しなかった。
日本に原爆が落とされて、アメリカ製の原子力発電所が導入されて
から、一気に増え始めたのだ。
今でも日本にある原発の八割がアメリカ製だ。」

はい。

S博士
「そして、本場のアメリカで分かって来たことが、
原子力発電所というのは、公に発表されているよりも、
ずっと大量の放射性物質を放出しているという ことだ。
大半は、細かい分子になった、核の分裂によって産まれる物質で、
大気や海に放出されている。核分裂生成物というやつだ。」

はい。
これが、自然放射線と混同されると、訳分からなくなりますね。

S博士
「その通りだ、そもそも自然放射線というのは、
海抜0メートル付近では、0.8 から1mSV(ミリシーベルト)が
普通であって、それ以上はラドンなどごく特定の地域しか関係の
ないものや、0.15mSVほどのカリウムなどを大げさに
数えている場合が多い。
しかも、ほとんどの自然放射線が外部被ばくを起こすガンマ線で、
体の中の特定な器官に蓄積して内部被ばくを起こすものじゃない。
ストロンチウム90やヨウ素131などの放射性物質は、
体の中に入り込むのと、それと同じ量を地面にばらまいたのでは、
威力が全然違うのだ。」

分かります。

S博士
「ヨウ素131は、ほとんどが一週間の半減期だが、
これは首にある甲状腺に集中する。
甲状腺というのは、体全体の新陳代謝をコントロールしていて、
多くの器官が甲状腺のホルモンによって動いている。
だから甲状腺が壊れると、大人だと、甲状腺に異常が生じたり、
がんになることがある。

また、ストロンチ ウム90は骨に集中する。
これはカルシウムと似ているためで、カルシウムは、骨をつくったり、
神経の伝達にも欠かせない。
要するに、脳みその働き、考える 力に貢献している。
よって、ストロンチウム90が引き起こす問題というのは、
あまり知られていないのが、カルシウムと同じように骨だけじゃなく、
脳にも入 り込んで、神経にダメージを与えるため、
特に脳の発達に支障をきたすようになる。」

赤ちゃんですね。

S博士
「赤ちゃんもそうだし、お母さんのお腹の中いる胎児のときからだ。
それに、脳みそは10代まで発達し続ける。だからそこに問題が生じると、
普通の読み書き、理解する力、計算する力、
全体的に影響を受けてしまう訳だ。健康な脳みそをつくる過程でだよ。」

母親は知っておくべき情報ですね。

S博士
「これは、本当に伝えなければいけないことだ。
繰り返すが、ストロンチウム90やヨウ素131は自然には存在しないもので、
ウランやプルトニウムが 核分裂を起こしたときのみ、産まれるのだ。
原子炉の中で起きていることは、原爆の核分裂が起こす環境破壊と同じなのだ。
つまり、核実験などが広めた汚染 を、
原子力発電所がそのまま引き継いだに過ぎないのだ。」

なるほど。


S博士
「これは数年前にJournal of American Medical Association
で発表されたばかりなんだが、妊婦が歯科医でX線を数回受けただけでも、
散ったX線が、ヨウ素131のように甲状腺に影響を与え て、
それが早産につながる確率が数割高くなることが分かった。
こうした未熟児は、現在の医学ではほとんどを救うことができるのだが、
X線のせいですでに脳 の発達に影響が出てしまっている。
それが思考力や、集中力の欠如に表れる。
脳の発達に支障をもった未熟児は、自閉症になる可能性も出てくるのだ。」

このように器官に集中する放射性物質は、
どのようにダメージを与えているんですか?

S博士
「ヨウ素131の場合、ガンマ線というのは、X線と一緒で、
とても強いエネルギーを持った光を出す。
そして、ベータ線は電子なんだが、数ミリしか飛 ばなくても、
臓器に埋め込まれると周りの細胞を破壊する訳だ。
変異を起こしたり、遺伝子を傷つけてしまう。
そして、フリーラジカルが産まれる。フリーラジ カルとは、
マイナスの力を帯びた酸素分子で、寿命も一瞬なんだが、
これがプラスを帯びた細胞の粘膜に引き寄せられて、
穴を空けてしまうので、大変なこと だ。
これらのことは、60年代の後半から70年代にかけて分かったことで、
原子力発電を始めたずっと後の話だよ。」

はい。

S博士
「初めての原発が1942年のシカゴだったから、
そのおよそ30年後に分かったことだよ。
もう一つ興味深い発見だったのは、X線などの強くて短い刺激が
つくる多くのフリーラジカルは、実はお互いとぶつかり合って、
そこまでダメージを引き起こせないんだ。
これを、私は『混んだナイトクラブ効果』と呼ん でいる。
分かるだろう、狭い空間に人が入りすぎて、身動きが取れないのだ。
これで分かったことが、X線などが与える、自然放射線の一年分に
値する1mSV ほどの一度の衝撃は、思ったほど効果がなく、
同じ量を一週間、一ヶ月の間に分けて微量を受けた方が、
細胞あたりのフリーラジカルが少ないために、
ずっと大 きなダメージを与えるのだ。」

そうなんですか。

S博士
「このことは、衝撃だった。つまり、X線や原子爆弾のように、
集中された強い放射線よりも、永続的な低レベルの放射線の方が、
ダメージは100倍から1000倍も大きいことが分かったのだよ。」

なるほど。

S博士
「我々はヒロシマやナガサキで集めたデータを信じきってしまったのだ。
原爆は、主にガンマ線と中性子線を一瞬で放出したから、
本当に強くて大量のエ ネルギーを放出した。
ましてや、その頃はフォールアウト(『死の灰』と訳される)の
ことも良く分かっていなかった。
要するに、長期的な低レベル放射能の影 響を、今日でも、
完全に間違って計算しているのだ。

2003年にイギリスのクリス・バズビー (Chris Busby) 氏らが、
ヨーロッパのECRR機構(European Commission on Radiation Risk)
に頼まれて、原子力発電所のリスクについて過去50年の様々な論文や
ケースを完全に洗い直したところ、同じ結論にたどり着いたのだ。
我々は、低レベルの内 部被ばくによる影響を、
少なくとも100倍から1000倍、過小評価して見積もっているのだ。」

はい。

S博士
「もう一つ言いたいのが、ストロンチウム90は骨に入って、
強い電子を放出する。骨髄では赤血球と白血球もつくられているから、
ここで異常が起きる と、白血病を起こす。
また、白血球というのは、体のありとあらゆる病源と戦っているから、
白血球がちゃんとつくられないと、これは大都市で警察のストを起こす
と犯罪率が一気に高くなるようなものだ。
分かるね。ストロンチウム90が白血球を壊せば、
体中にがんが起きても止めることができない。
ストロンチウム 89の半減期は50日で、
ストロンチウム90の半減期は28年だから、体に蓄積されていくものだ。」

そうですか。

S博士「さきほどの低レベルの放射能の話に戻るが、
人々が間違いを犯した原因のひとつに、放射線によるがんの治療による。
これは動物実験で、一週間おきに 集中した放射線をあてれば、
健全な細胞は元に戻るということから、放射量を細かく分ければ、
体には影響が少ないと信じられていたのだ。

ところが、内部被ばくの場合は、少ない量でも常に体の中にある訳だから、
慢性被ばくと言っても良い。
これが何十年間と蓄積されると、ストロンチウム90のように白血球が
壊されていけば、肺炎やさまざまな感染が起き易く、
免疫力が激しく低下することに繋がるのだよ。」

では、質問を変えます。

原子力発電所は、すべての排出物をモニタして、
環境もモニタして、すべては安全だと言います。
何がいけないのでしょうか?

S博士
「何回も言うが、0.1~0.2mSVほどのX線の影響と、
核分裂生成物を比べて、影響を少なく見積もりすぎているから、
誤った安全の基準を適用しているところが間違っている。
2005年に発行されたUS Academyの論文には、
『どんな微量の放射能でも、必ず何らかのダメージを与えている。
無害ということなどない』と書かれているくらいだ。

一時期、『微量なら健康に良い』と信じられていたのも
まったくの間違いで、『一定値以下なら安全』と信じられていたことも、
間違いだった。
これはようやく最近、世界中で発表されている論文で認められてきたことだ。
更に、1000倍もダメージを少なく見積もってものだから、
0.1mSVだったものが、実質的には 100mSVと同じダメージを加えているのだ。」

これらの核分裂生成物は、化学的にフィルタすることってできるんですか?

S博士
「完全には無理だ。中空糸フィルタやイオン交換樹脂など、
どんなにテクノロジーが進化しようと、完璧なフィルタなど存在しない。
例えば、アルゴン、 クリプトン、キセノン、ラドンなどの希ガスは、
化学的にフィルタすることはできない。
トリチウムなども水分と同じような性質なので、なかなかフィルタできない。
モニタリングは、結局、役割を果たしていないのだ。
自然界はストロンチウム90やヨウ素131をつくらないから、
自然放射能と比べるのはおかしい。
更に、X線などは刺激が短か過ぎる。
だから、安全だと思っていた放出量が、
実はそうではなかったということだ。」

それでも、核実験からの残量放射能が減って来ていて、
今では食物に含まれている値も示していますが。

S博士
「良いかい。基本的に原子力発電所が自ら検出して発表しているデータは
そこまで信用しない方が良い。
電力の生産があがるほど、放射性物質の排出は ぜったいに免れられないのだ。
それに、原子力発電所がどのくらい排出しているかを心配したり論議するよりも、
人間にどのくらい入って来ているのかを検出する方がずっと早いのだ。
私たちの90年代の研究で分かったことは、アメリカで原子力発電所の近くに
住んでいる子供たちの乳歯から検出されたストロンチウム 90は、
かつての核実験の時代と同じくらい高くなってきているということだ。
これは原子力発電所が放射性物質を出し続けている確固たる証拠だ。

このプロ ジェクトもアメリカの政府がデータを公表しなくなったために、
独自で始めたのだ。
ストロンチウム90の値は、すでに胎内で蓄積されていることが分かることと、
ストロンチウム以外の放射性物質も入って来ていることを裏付けるから大事な訳だ。
これらはすべて、いわゆる通常の運転で起きていることだよ。」

それは日本にも言えることですか。

S博士
「繰り返すが、日本の八割はアメリカ製の原子力発電所であるからして、
まず間違いないだろう。
原子力発電所の放射性ガスや放射性物質の粒子は、
日本 の美しい山脈に降り注ぎ、それがきれいな湧き水に混入して、
田んぼや畑、飲み水に入って行ってしまうのだよ。
風がどっちに吹いていようが関係なく、これが いちばん起こりうる被ばくの
方法で、私はこれが日本でがんが急増している要因のひとつだと考えている。

ちなみに、ロレン・モレーが日本で集めた乳歯のサン プルからも
ストロンチウム90が充分なレベル検出されている。
これはどこで産まれたか、どこで育ったかによって大きく異なるし、
もっと大規模な研究が必要 だが、アメリカと同じような状況であると予想される。
小児がんを主に、健康な発育が妨げられる確率が数割は高くなるということだ。
もちろん、放射性物質に よる害は成人にもあてはまることだ。」

そうなんですか。

S博士
「ついでに、もう一つ重大な話をしよう。ストロンチウム90から出来るのが、
イットリウム90だ。これは骨じゃなくて、すい臓に集中する。
すい臓と いうのは、糖尿をおさえるホルモン、インスリンを分泌しているから、
ここに異常が出ると糖尿病になる。
世界中で、糖尿病が急増しているのは知ってるね。
日本は、すでに人口の割合から言えば、アメリカの二倍もいる。
そのアメリカだって、イギリスより率が高いのだ。

日本では、戦後から現在にかけて、すい臓がん が12倍にもふくれあがっている。
50年代の終わりにドイツの動物実験で発見されたのが、
ストロンチウム90が電子を放出してイットリウム90になると、
骨から肺、心臓、生殖器などに移動するのだが、
すい臓に最も高い集中見られたのだ。
インスリンがうまく生産されないようになって、血糖値が上がってしまうのだ。
今までは放射能が糖尿病と繋がっているなんてまったく認知されていないのだ。
これで分かっただろう、国際放射線防護委員会(ICRP)は、
当初、放射能の影響として、特定のがんと奇形児くらいしか認めなかったのだ。
未熟児、乳児の死亡や、肺、心臓、すい臓、これらの部位への影響は
すべて無視されてき たのだ。」

はい。

S博士
「民間エネルギーの最初の原子力発電所は、ピッツバーグに57年に、
私が15年間勤めたWestinghouse社によって建てられた。
私たちは、 汚い石炭の発電所よりも、安くて、きれいなエネルギーだと
思っていた。
微量の放射性物質が逃げても、大したことないと思っていたのだが、
それは大間違い だった。
これと同じ原子炉が、今でも日本でたくさん稼働している。
70年代にカナダのエイブラム・ペトカウ (Abram Petkau) 博士が発見した、
低レベル放射能によるフリーラジカルの影響を、未だに反映できていないのだ。
フリーラジカルの性質を分かっていなかったのと、放射線量と 人体への影響が
比例的な関係だと勘違いしていたのだ。
低レベルで起きる様々なことは、ヒロシマとナガサキの生存者を調べただけでは、
まったく予期できな かったのは当然のことだ。」

はい。

S博士
「だから、原爆の生存者や、X線のデータによって計算された
国際的な許容量はまったく間違っている。
これは、原子力発電所が大規模に建てられるよ になって、
何十年も後に分かったことだが、誰もその過ちを認めることが出来ずに、
今日まで来てしまった。
その理由の一つとして、すでにウラン鉱山に巨額の投資がされてしまって
いたことがあるだろう。だから、ウランの利益を受けている人たちは
過ちを認めないどころか、それを絶対に隠したいのだ。
ウランは核 分裂以外には役割がないから、それがただの粉末のゴミになる
ことを本気で危惧しているのだ。
世界中の政府や企業、イギリスの皇室などが所有しているウラン は、
原子力発電所が他の燃料で動くようになったら困るのだ。」

日本企業もかなり先行投資していますよね。他の燃料と言いますと?

S博士
「天然ガスだ。天然ガス発電に切り替えれば、
なんと、設備投資の7~8割は無駄にならない。
天然ガスはあと数十年は持つと言われているから、
その間 に自然エネルギーを開発すれば良いのだ。
コロラド州のフォート・セイント・ブレイン (Fort St. Vrain) は、
すでにこの成功例だ。
原子炉だけを閉じて、天然ガス用のボイラーを横につくって、
タービンの建物など、ほかのものはそっくりそのまま使えたのだ。
そ う、原子力はお湯を沸かしているだけだからね。
原子炉の中の水も放射能を持っているために、配管が錆びて出てくる鉄、
マンガン、コバルトなどにも中性子が ぶつかって、普通の元素まで放射性に
なって大気に飛び出てしまうのだよ。これが体内にも必要な物質の場合、
放射性の鉄分だって血液に入ってしまう訳だ。」

原子炉を解体しただけで、その付近は大丈夫なんですか?

S博士
「そうだ。その証拠にコロラド州は、あらゆるがん、小児がんの率が
全米でいちばん低いのだ。
解体すれば、新しい核分裂や放射性ガスを止めれば、燃料 自体は、
まだ残っているが隔離することはできる。それが素晴らしい点だ。
もちろん、完全に廃棄するにはたいへんなコストがかかるよ。
これはもっと大変な問 題だ。だから、原子力産業は、古くなった発電所を
解体する巨額のコストを考えていなくて、将来のコストを少なく見積もり
すぎているのが、大問題だ。でも、 運転を止めることさえすれば、
せめて新しい放射性ガスが発生することは抑えられるのだからね。」

環境的には、それがいちばん良い訳ですね。

S博士
「とりあえずは、だ。その代わり、何万年、何億年と放射能を持つ
核廃棄物をどうするのかを、まだ誰も解決できていない。
何故かというと、長い時間が 経つと、地下に埋めようが、山に埋めようが、
放射線が缶から漏れ始めることが分かっているからだ。
缶が空気中のバクテリアに侵されて行くからだ。
そうすれ ば、今度は地下水が汚染される。」

はい。

S博士
「環境的な問題はそれにとどまらない。
日本のロッカショで起きようとしていることは、
全国の55基分の廃棄物を集めるから、どうがんばっても
大量の放射性物質を大気と海に捨てることになるだろう。
そうすれば魚も死ぬし、近辺の入江に生息する貝や生物が放射性物質を
吸い込んで、人間と同じように免疫力 が低下して行って、
死んでしまうのだ。
60年代に核実験が盛んに行われていた時期も、北大西洋では、魚が激減して、
核実験が終わったあと、一気に元に戻っ た。
決して乱獲のせいなどではなかったのだ。
このことは、今でも世界中の原子力発電所の近くで起きている。
クジラやイルカも、川に流した放射性物質によっ て、
みんな影響されているのだ。」

何度も言いますが、それでも原子力発電所は、海への放出をフィルタして、
ちゃんとモニタしていると言いますが。

S博士
「だから、そんなフィルタがあれば、
固形の廃棄物の心配だけで済むから嬉しいよ。
でも現実的には、一部の放射性物質しか取り除けないことは、
実績で 分かっているのだ。
しかも、事故や人為的ミスの可能性も計算にいれてなくても、この状況だ。
過去には放出しなくて済んだ放射性物質も、大量にあった訳だ。
スリーマイル、チェルノブイリ、
これらは、世界中に多大なるインパクトを与えたのだ。
我々はチェルノブイリが起きた翌年のアメリカでも、統計データと
EPAによるストロンチウム、ヨウ素、セシウムの測定量から、
数万人規模で過剰な死者が出たと考えている。」

そうなんですか。

S博士
「特に日本の場合は、地震国だということを忘れては行けない。
日本の面積にあれだけの原子炉が集中していることと、
ロッカショの再処理工場の最大の 問題点は、さきほど言ったように
全国の燃料棒を集めてプールにいれていることだ。
これらは、本当に強い、本当に高レベルの廃棄物で、なんかの拍子に、
この プールの冷却水にもしものことがあったら、
大惨事では済まないことになるだろう。」

、、、質問を変えます。

なぜ、人間はそのような強い放射性物質を扱うことになったのでしょうか?

S博士
「まず、自然の中で人間が経験してきた放射性物質は、カリウム40だけだ。
これは体内に入っても、骨など、どこにも集中しないし、
放射線量はストロ ンチウム90より多くても、体に蓄積もされないから、
割とかんたんに体から抜けて行くのだ。
地球ができたときに、ウランやたくさんの放射性物質ができたが、
どれもストロンチウム90のようにカルシウムに化けて、
核分裂生成物が体内に蓄積されるようなことはなかった。
一部のアフリカの地下の鉱山の例外をの ぞいて、
核分裂の連鎖反応は自然ではぜったい起きないのだ。」
(註:20億年前に西アフリカにあるガボンのウラン鉱山で
自然核分裂があったとされる)

はい。

S博士
「例えば、普通の水の中にある水素は、宇宙線の影響で
トリチウムになることがある。
トリチウムも、特定の部位で濃縮されない。
人間は、自然放射線の 中で進化してきたが、
これらも体に蓄積はされなかったし、フリーラジカルを長い期間に
わたって体内に取り込むこともなかったのだ。
海の中に微量に存在する ウランも同じことだ。
1938年に人間が核分裂を発見してから、すべてが変わってしまったのだ。」

分かりました。

では、日本は島国ですから、海の汚染についてもう少し詳しく教えてください。

S博士
「海を守ることは、とても大事なトピックだ。
我々が予測できなかったエピソードをもう一つ、教えてあげよう。
昔、科学肥料が海に流れ込んで、藻が異 常発生すると、魚貝類の酸素を
奪ってしまうと疑われていた。
その結果、酸欠になった魚や貝が死んでしまう訳だ。
ミシシッピ川が流れ込むメキシコ湾で藻が大 量発生したときは、窒素、
つまり酸化窒素を含む化学肥料が原因だと思われていた。

でも最近、新たに分かったことは、キセノンやクリプトンなどの放射性ガス
のエネルギーが、大気の酸素と窒素を反応させて、酸化窒素をつくることが
分かったのだ。
雨が海に運んでくる土砂が化学肥料と同じ役割を果たして、
間接的に 魚の酸素を奪ってしまうのだよ。
この容量で、原子力発電所は、酸化窒素だけでなく、
酸素原子が三つくっついたオゾンもつくっている。
つまり、原子力発電所 が藻の激増に繋がっていることも、
誰も予想できなかったことの一例だ。」

そうですね。

S博士「だから、発電所が出す液体廃棄物は、始めは誰もが海は広いし、
とても深いので、人間社会にはまったく影響がないと計算していた。
しかし、先ほどか ら言っているように、
微量だから大丈夫ということは決して有り得ない。
また、Busby氏らの発見が論文で細かく発表されたように、
海に放出した放射性物 質は、必ず波に乗って浜に返ってくる。
イギリス、ウェールズ、スコットランドの原子力発電所付近の砂浜でも、
このことが確認されたのだ。
日本でもきっと同 じことが起きているだろう。
海水で薄まると期待していた放射性物質が、波に運ばれて返って来て、
それが雨にも混ざって、また土の中にも入ってくるのだ。」

それでも、魚からは放射性物質が検出されてないと言われますが。

S博士
「だから、まずそれは安全値がニ、三桁ずれたままだからだよ。
もちろん遠洋の魚の方が、放射線を受ける量が少ないし、
日本は遠洋漁業が多いから、ま だ安全な方かもしれない。
それでも、50年前の安全基準が残っていることが問題だ。
たいていのガイガー・カウンターは分かり易いガンマ線を計っているだけで、
アルファ線やベータ線のことは計れないので、
これにはもっと複雑な機械が必要なのだ。」

そうなんですか。

S博士
「ガイガー・カウンターは、砂浜にたまったガンマ線を読むことはできるが、
魚のアルファ線やベータ線などの正確に計るには、魚の肉や骨をとって、
化学的に調べる必要がある。
これには大変な技術と計算力が必要になるのだよ。
化学的に分離させた液体を、放射線検出用のシンチレーション計数管に
通すのだか ら。つまり、骨にたまるストロンチウム90のように、
いちばん強力で、いちばん厄介な放射性物質ほど、
かんたんな計器では探知できないのだ。」

はあ。

S博士
「分かったかい?原子力発電所ができてから30年後に、
ペトカウ氏が発表して初めて分かったことがあったように、
知らなかったことが多過ぎたのだ。
ひとつの細胞が放射線を受けると、周りの細胞が影響を受ける
『隣人効果 (Neighboring Effect) 』のことも知らなかったし、
いろいろなことだよ。
我々は、世界を壊してしまうような原子爆弾をつくってしまった償いとして、
原子力発電を急ぎすぎたの だ。」

どういうことですか?

S博士
「核分裂が発見されたとき、多くの物理学者は大学の研究室を出て、
マンハッタン・プロジェクトに参加した。
当時はヒットラーが世界的な脅威だったからだ。
ドイツに原爆を渡してはいけない、と。
同じことがイギリス、フランス、ロシアでも起きた。
そのうちに、スターリンが出て来て、今度は冷戦が始まって、
多くの物理学者は核戦争を避けるためにと、
核爆弾の開発に一生を捧げたのだよ。

と同時に、そんな軍事目的に利用されただけで死ぬのは良心が耐えられ
なかったのだろう、アイゼンハワー大統領が提唱した
『平和な核利用』のアイディアに皆が飛びついたんだ。
アイゼンハワーは、『クリーンな原子力』をつくる原 子力発電所を
世界中に売り込もうと躍起になって、
物理学者はそれを喜んでその手助けをした。
ヒロシマとナガサキで起きたことや、人類を滅亡させる核兵器を
つくってしまったことへの罪悪感のためにね。」

とても興味深いです。

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