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宗主国における“民族皆殺しという考え方”

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なんともすさまじい現実。「人を呪わば」というが。ワシントンの為政者ではなく、先住民、現地住民が被害を受ける構造の説明は、日本の原発立地、六ヶ所村施設等とびったり重なるだろう。

宗主国における“民族皆殺しという考え方”による先住民差別の延長、同じ黄色い顔のこの国の民間人に平然と原爆を落とした心理と直接つながっているだろう。辺野古基地拡張にも。



70年前、アメリカのニュー・メキシコ州で、世界最初の核爆発が起きた場所、トリニティー実験場で核兵器が生まれた。それは1945年7月16日のことだった。一ヶ月もしないうちに、爆弾は日本の都市、広島と長崎に投下され、約200,000人の命を一瞬のうちに絶滅した。

今、このアメリカの州は、アメリカ軍産複合体の70年分の放射性廃棄物を埋めようという、いまわしい問題に取り組んでいる。多くの点で、核兵器の恐怖は、それが最初に解放された、まさにその場所に、いまだに付きまとっているのだ。

メリカ連邦と州の政治家達は、ニュー・メキシコ州を、現在まで、アメリカの核兵器用プルトニウムとウランの主要製造施設がある、ワシントン州北西部ハンフォード等、アメリカ中、他の場所にある中間貯蔵施設で保管されている高放射能廃棄物の恒久埋設地にすることを計画している。

ニュー・メキシコ州は、アメリカのあらゆる放射性廃棄物で最も危険なものの唯一の保管所になる。
“問題はニュー・メキシコ州が軍産複合体の奴隷になっていることです”とマーチンは言う。“我々のこの業界との関係は揺り籠から墓場までです。ここで核兵器技術が生み出され、実験され、そして今有毒廃棄物を埋める役割を押しつけられているのです。”

ニュー・メキシコ州における廃棄物施設拡張の一番大きな提唱者の一人は、共和党州知事、スサナ・マルティネスだ。マルティネスは、将来ホワイト・ハウスで副大統領になる野望を持っているともてはやされている。計画は、トリニティ実験場から約200 kmのカールスバッドにある既存の低レベル放射性廃棄物処理場を拡張し、アメリカ全土から、燃料棒や爆弾コアを含む、使用済み高レベル放射性物質を引き取るものだ。

州には、サン・アンドレス山脈ふもとの8,300平方キロの砂漠に広がる、ホワイトサンズ・ミサイル実験場というアメリカ最大の兵器実験・訓練場がある。広大な地域がトリニティー実験場を取り巻いている。更に無数の他の軍事基地が州全体に散在している。結果的に、民間部門の多くは、たとえ公式には、軍との関係はなくとも、経済的に圧倒的に軍に依存している。軍にとって良いことなら何でも、ニュー・メキシコ州にとって良いことだという主張は、反論するのが困難だ。そこで、たとえ汚染の危険に関する懸念があっても、地域社会が、軍の放射性廃棄物を受けいれる計画に反対することは難しい。ペンタゴンに順応しなければ、多くの生計が危機にさらされるのだ。

昨年、カールスバッドにある廃棄物処理場で、深刻な放射能漏れがあり、処理場の労働者数十人が汚染した。ところが、まさに同じ施設が、今、更に膨大な量の使用済み高レベル放射性物質を引き受ける様、要請されているのだ。新たな廃棄物は、岩塩地域に掘り抜いた巨大地下洞窟に保管される予定だ。

廃棄場支持者達は、地質上、安全な自然の保管所になると主張している。だがそうした廃棄物の毒性の寿命が数千年にわたることを考えると、将来の地質学的イベントでも、漏洩が起きないという推定は不安だ。ニュー・メキシコ州廃棄物処理場、危険にも、地域社会にとって唯一の淡水源となっていて、メキシコ湾へと流れ出る、アメリカ-メキシコ国境沿いの何百万人もの生活に影響を与える可能性がある、リオグランデ川の支流の元、デラウェア盆地の上部に位置している。

放射性廃棄物投棄に反対する活動家達は、ニュー・メキシコ州の何十年もの懸念に対する、アメリカ側当局とは対照的に、1986年のチェルノブイリ事故による放射性降下物に対し、ソ連当局が極めて機敏に動いたことを指摘している。チェルノブイリ事故の後、ヒトの健康への影響を評価する為に、医療調査が行われ、当時のソ連政府は、犠牲者やその家族に対する補償金を設定した。対照的に、アメリカ連邦政府は、ニュー・メキシコ州の核開発活動という伝統の中で、調査を抑制し、放射能によって影響を受けたとされる人々に、経済的な補償をするのを嫌がる傾向があった。州において、アメリカ軍の支配的な役割が蔓延しているおかげで、いかなる批判世論も、責任を問う声も更に抑制されがちだ。

植民地時代の征服という歴史的背景も、もう一つの重要な要素だ。ニュー・メキシコ州は、ワシントン支配層によって、長らく遅れた“インディアン特別保護区”と見なされてきた。現在のニュー・メキシコ州は、1912年にようやく作られたものだ。それ以前は、単に、“特別保護区” - アメリカ先住民部族が暮らす、広大で、境界の無い奥地だった。アパッチ戦争が、新たに建国されたアメリカ合州国によって、1800年代末まで戦われていた - 1945年に、トリニティー核実験が行われる、わずか70年前のことだ。この戦争で、アパッチ族は、残虐な皆殺し作戦で征服すべき、最後のアメリカ先住民の一つだった。

当時のニュー・メキシコ州の“価値のない砂漠と、征服された人々”が後に、ワシントンの支配階級によって、最初の核兵器の実験場として選ばれたのは偶然ではない。マンハッタン計画の科学者達すら、核爆発が、ニュー・メキシコ州内や周囲の州で、破滅的な大気反応を引き起こすかどうか良くわかっていなかったことを想起すべきだ。

1945年のトリニティー実験場における身の毛もよだつほどの核実験は、ワシントン政府が、昔のアメリカ先住民部族征服以来、持ち続けて来た“民族皆殺しという考え方”から生まれたのだと、活動家のランディー・マーチンは言う。

“その民族皆殺しという考え方は、今日まで続いています”とマーチンは言う。“アメリカ合州国政府と軍産複合体が、恐怖の核兵器を、アメリカでもこの地域で解き放ったのは、彼らが、ここを征服された人々が暮らす征服された地域と見なしていたためです。現在、ワシントンの支配層やその同類は、いまだに、ニュー・メキシコ州のことを、核問題を埋めて、忘れることができる場所だと見なしています。”

オバマ政権の下、今後十年にわたって、アメリカの核兵器備蓄の性能を高める為、ペンタゴンは、3500億ドル以上の予算を得た。オバマの下でのこの核兵器再開は、ロシアや、世界的ライバルとみなしている他の国々との新冷戦を象徴するものだと認識している識者達もいる。一部には、核軍縮という理由もあって、オバマが、2009年に、ノーベル平和賞を受賞した事実にもかかわらず、そして、アメリカは、40年前に署名した核拡散防止条約の下で、完全に爆弾を処理するよう義務付けられているのだ。

ワシントンの新たな核兵器探求の下、ニュー・メキシコ州のロスアラモス研究所は、核兵器のプルトニウム・コアを、新しい核分裂装置と交換することを命じられた。これは必然的に、さらにずっと大量の放射性廃棄物がニュー・メキシコ州の砂漠に投棄されるであろうことを意味している。

トリニティーから70年後、ニュー・メキシコ州は未だに、ペンタゴンによる致命的な核実験に使用されている。有毒廃棄物は地下に埋めることが可能かも知れないが、恐怖は生き続けるのだ。


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