笊ヶ岳は南アルプスの前衛とはいえ、なかなか登る機会の少ない山の1つである。特徴ある双耳峰は甲府盆地からもよく見え、同定しやすい山である。
登山適期は残雪期がよい。尾根筋で水が得やすいこと、大井川の谷を隔てて見る南アルプスの色彩の変化が楽しめることなどが理由。
独立峰なので、360度の大展望を手中にできる。これは多少の入山の困難さを帳消しにして余りあるものといえよう。
一般的な登山は、雨畑川沿いの馬場集落から奥沢、布引山を経てピストンということになろう。山中1泊。山頂まで登り10時間30分。『甲斐国志』には「山形淘ざる(いざる)ヲ覆(ふせ)タルカ如シ因テ名ツク」とあるが、山形に若干の疑問がある。最初の登山者は中村清太郎であり、明治44年12月1日、奥沢の谷をつめてその頂に立った。
田代入口5:00→伝付峠8:30→笊ケ岳13:00→ヴィラ雨畑16:30
【装備】
丹沢装備+防寒
アディゼロ・XT
【実施日】
10/21 第一候補 10/15 第二候補
【条件】
Aランク のみで
【決定】
前日の朝6:00までに
【参考】
転付峠4:30-5:15林道終点上5:30-6:05上ノ切(保利沢山)6:15-7:10上ノ切(保利沢山)南コル7:20-7:40天上小屋山7:55-9:05生木割9:20-9:45ハイ松尾肩(10:00ハイ松尾頂上-10:05ハイ松尾肩戻る)-11:10椹島北分岐11:20-12:05笊ヶ岳12:50-13:30FH2500mポイント13:35-13:55布引山14:10-14:502190m地点15:00-15:451790m地点15:55-16:20大木迂回16:30-17:50広河原5:45ー7:20雨畑・馬場到着
■伝付峠〜上の切
・林道は登りになり、一回右下に分岐したあと、もう一回、林道は右下に分岐する。そこには「登山道ではありません」(写真参考)の表示板あり。
・保利沢山を巻ききるとトラバースしていた林道は終点となり、登山道は尾根上をいくようになる。
・尾根上しばしで登山道は右にトラバース始めるため、われわれは「上ノ切」の頂上を踏むべく直進した。踏み跡あり。
・「上ノ切」の頂上には表示板と三角点。
■上の切〜天上小屋山
・「上ノ切」からは地図とコンパスで慎重に行く。踏み跡あるが、乱れている。倒木などで踏み跡がさえぎられ巻くうちに道を失うことも多く、踏み跡が強弱まじえ多く入り乱れているので要注意。(何度も右往左往しながらメインの踏み跡を求めて進んだ)
・上ノ切南コルには尾根が曲がり一段と西に向かいますので注意が必要。
・南コル手前にひとつコブがあってそのコブピークから左手の尾根にくだらないように注意が必要。
・なおこのコブは北側からまくのがメインの踏み跡のように見受けられた。
・天上小屋山はピークが2つあって、最初のピークに刈り払いありピークと誤認したが、次のピークにでかい表示あり。ただし展望なし。
■天上小屋山〜生木割山
・生木割までは、稜線上をいかず西の山腹をトレバースし、ピーク直前を手前のコブとの鞍部に向けて直登し、さらに鞍部を乗り越え逆側の山腹を頂上に向かって登る。倒木がしばしばあり、道を失う。よく探せば道があり頂上へ導かれる。
・生木割の頂上はテントサイトが2張りほど。ケーブル施設あり。
・頂上の三角点は最高点にはない。南側の苔のコブが厳密な意味での山頂ということになる。
■生木割山〜ハイ松尾
・明瞭な踏み跡が続き問題なし。
■ハイ松尾〜笊ヶ岳
・ハイ松尾の巻き道はヤブの中の細い道。?巻道の中間点と?巻道が終了、コルに向かって下り始める角のポイントの2箇所に頂上への踏み跡あり。前者?には「⇔」のプラスチック板の表示が置いてあって頂上に立ち寄らない登山者に対し迷わないようになっている。
・ハイ松尾の頂上手前まで踏み跡は明確で好展望。厳密な頂上の最高点は頑強なハイ松に覆われていて空中遊泳を強いられる。
・下りきると、右側にテープがまいてあり踏み跡が右側に分岐している。水場への分岐と思うが、文字での表示はない。テントも張れそう。
・笊ヶ岳のコルの手前に2箇所、椹島への分岐があるが、北側のものは分岐に何も表示がなく、踏み跡が南方向に斜降していく。南側のものは多くの人が利用するようで、分岐には指導板もあり踏み跡も明瞭。200名山もしくは300名山狙いの人からすれば北側の道は利用価値がないので、踏み跡が薄くなるのも無理ないかも知れない。なお笊ヶ岳の登りは急登。
■笊ヶ岳〜布引山
・小笊への分岐は気がつかなかったが他の資料によると明瞭。
・倉沢コルから布引山へは急登をしのいだあと、だらだらと思った以上に時間がかかり実際「FH2500mあと20分」という表示から25分弱かかりました。(あゆみが少しゆっくりペースだったかもしれないが)
・布引山のテントサイトから20mのところが三角点のある頂上。一瞬、テントサイトが広いのでそこが頂上だと思ってしまいがち。
・布引山は千丁木と地元では呼ばれている。林業華やかなりしころ、巨木から千丁(千本)もの角材が取れたことからそんな巨木を産む山のことを千丁木と読んだのである。今でも「千丁に雪が来た」「千丁に雨が降っている」などと地元ではいう。
■布引山〜桧横手山
・布引山の三角点の直下が所ノ沢越と広河原への分岐。国土地理院の地図にしても山と高原地図にしても三角点と分岐との距離が離れすぎているように思う。
・布引崩れは歩くだけの幅は現在のところ確保されているが、一部やばそうなところもあり。常に崩れており必要に応じヤブを巻くなどの対応が必要になるかも知れない。降雨時はスリップに細心の注意が必要。
・桧横手山まで急激な下り。桧横手山の頂上にはテントサイト1張スペースあり。この山の西側コルに水場があるという資料を読んだことがあるが、指導標もなく、他の資料で汲みにいったという記録も読んだことがない。基本、水なし幕営となる。
■桧横手山〜広河原
・桧横手山頂上のすぐワキ、東側に指導標あり、左手に下りるように指示あり。その道はすぐに右に曲がり尾根上を行くのだが、まっすぐ尾根の北側の山腹を下る踏み跡があった。それは次第に薄くなる。(われわれも入り込んで数分迷った)迷ったら尾根上で深入りは禁物。
・尾根の途中大木が登山道を遮っており南側に巻き道あり。また尾根上に戻る。まだ新しい踏み跡なので一瞬不安になるかも知れないが、問題なし。
・山ノ神からは右下に下る。国土地理院地形図では尾根上をまっすぐ下る点線標示になっているが間違い。右手山腹をジグザグに下るのが正解。
・広河原の右岸にテントサイト2張りほどあり。以前は5〜6張分はあったと思われるが、その後、沢の侵食が進み失われてしまったようだ。
■広河原〜老平
・広河原の徒渉は流されて遭難死した事件も発生しており増水時要注意。縦走中に台風等で明らかな増水が予想される場合には桧横手尾根に入る前に判断を下し、所の沢越から大井川・中ノ宿に下るか、戻って椹島分岐から大井川・椹島に下るしか方法はない。笊ヶ岳頂上から小笊経由でランカン尾根を下るルートもあるが篤志家向きで緊急時には避けるべき。
・老平の先の馬場にあるビラ雨畑は日帰り湯可(日帰り湯:11:00〜20:00)。われわれは早朝の下山だったため、お湯に入ることができませんでした。裏手の運動場に断りを入れればクルマをデポできる。