21世紀のヴィルトゥオーソ、ここに現る
ユジャ・ワン、音楽界を席巻する25歳のピアニスト
ヴィルトゥオーソ。辞書には「卓越した技術を持つ演奏家」とある。しかし、それだけでは足りない。真のヴィルトゥオーソとは、目で追えぬほどの早業と度肝を抜くような音量で聴く者を圧倒したかと思えば、次の瞬間には極上のやわらかな音色で甘い夢に誘い、焦らすように興奮を先延ばしにし、本当のクライマックスを迎えたなら、それまで取っておいた極限の演奏技巧と大きな身振りで聴衆をカタルシスに導く――そう、どちらかと言えば聴く者の心を自在にあやつる「魔術師」に近い存在なのだ。19世紀の天才ヴァイオリニスト、パガニーニだって「悪魔に魂を売って手に入れた技巧」と評されたではないか。
ユジャ・ワンは、21世紀の聴衆の前に彗星の如くあらわれた真のヴィルトゥオーソである。最高のテクニックを駆使して鳴らされるピアノは、まったく優等生的ではない。「このテンポのまま弾き続けたらどうなるのだろう?」「どれほど魂を揺さぶられたらクライマックスを迎えるのだろう?」――私たちの憧れや期待を一身に背負い、ユジャ・ワンのピアノは己の道を突き進む。時に逆巻く怒涛の激情をもって、時に危険な甘さを湛えた官能をもって。その強烈なアウラを放つ演奏と舞台上でのカリスマ性に心を奪われたなら、「21世紀のヴィルトゥオーソ」の出現を熱狂的な喝采と賛辞で称えたい。
【出演】
ユジャ・ワン(ピアノ)
【予定される曲目】
ドビュッシー:ピアノのために
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第6番 作品62
ラヴェル:ラ・ヴァルス
ラフマノニフ:幻想的小品集 作品3から 第1曲〈悲歌〉
メンデルスゾーン(ラフマニノフ編):スケルツォ(劇音楽〈夏の夜の夢〉作品61から)
ラフマニノフ:楽興の時 作品16から 第4番 ホ短調
リーバーマン:ガーゴイル 作品29
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 作品36(1931年改訂版)
中国生まれの25歳、ユジャ・ワンは、自由奔放さ、鍛錬に裏付けされた若さ溢れる大胆な想像力、成熟したアーティストらしい精密さを兼ね備えた演奏で高く評価されている。特に完璧なコントロールと輝かしいテクニックは常に注目を集め、超絶技巧を要する作品においてその本質が発揮されるのはもちろんのこと、彼女の音楽性の深さ、新鮮な解釈と優雅さ、カリスマ的なステージ上での存在感が人々を魅了している。
ユジャはドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、そのデビューCDとして09年春にリリースされた「ソナタ&エチュード集」は、“鮮やかなテクニックと生来の誌的な素質との融合”とグラモフォン誌で評された。このCDは同年、クラシックFMグラモフォン・アワードの年間新人賞に輝いている。また、セカンド・アルバム「トランスフォーメーション」は2011年エコー・アワードの年間新人賞を受賞した。さらに、彼女の協奏曲初収録となったクラウディオ・アバド指揮マーラー・チェンバー・オーケストラとの「ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲、ピアノ協奏曲第2番」は、グラミー賞ベスト器楽奏者部門にノミネート。最新版「ファンタジア」にはアルベニス、バッハ、ショパン、ラフマニノフ、サン=サーンス、スクリャービンなどの作品が収められている。
サンフランシスコでのリサイタル・デビューに際し、アメリカの有力紙サンフランシスコ・クロニクルは、“この中国生まれのピアニスト、ユジャ・ワンの音楽界への登場は、これまでにない進化を期待させる。彼女の演奏を実際に聴くと、聴衆がこれまで持っていた「上手いピアノとはこう弾かれる」という概念を再検討させられる。”と評し、ケネディ・センターでのリサイタル・デビューは、ワシントン・ポスト紙によって“開いた口が塞がらない”と報じられた。
05年ズッカーマン指揮ナショナル・アーツ・センター管との本格デビューを機に次々と世界の舞台に招かれ、これまでにアバド、バレンボイム、ドゥダメル、デュトワ、ガッティ、ゲルギエフ、フランク、ホーネック、インキネン、マゼール、マズア、ノリントン、パッパーノ、テミルカーノフらのもと、ボストン響、シカゴ響、クリーブランド管、ダラス響、デトロイト響、ヒューストン響、ロサンゼルス・フィル、ワシントン・ナショナル響、フィラデルフィア管、ピッツバーグ響、サンフランシスコ響、ベルリン・シュターツカペレ、中国フィル、スカラ・フィル、イスラエル・フィル、ロンドン・フィル、パリ管、スペイン国立響、N響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、サンタ・チェチーリア管などと共演を重ねている。
06年「ブラーヴォ!ヴァイル音楽祭」でニューヨーク・フィルとの初共演を果たし、その成功を受けて翌シーズンマゼール指揮における同団の日本/韓国ツアーのソリストに指名された。08年にはマリナー指揮アカデミー室内管とアメリカ・ツアーを行い、翌年にはティルソン=トーマス指揮YouTubeシンフォニー・オーケストラとカーネギーホールで共演。近年では、ルツェルン・フェスティバルin北京でアバド指揮ルツェルン祝祭管との共演、ロイヤル・フィルとのスペインとロンドンでの公演、香港フィルとの共演など、目覚ましい活躍を広げている。
世界各地の公演や音楽祭におけるリサイタルや室内楽も高く評価されており、11年3月にはパリのサル・プレイエルにてベルリン・フィル首席奏者との共演による室内楽シリーズに出演。11年10月にはカーネギーホールでのリサイタル・デビューを果たした。
12-13年シーズンのハイライトとして、メータ指揮イスラエル・フィルとのアメリカ・ツアーや、ティルソン=トーマス指揮サンフランシスコ響との3週間に及ぶアジア・ツアー、ベルリン・フィルのブラームス・シリーズにおけるソリスト、ベルリン・フィル主催によるフィルハーモニー・ホールでのリサイタルなどがある。
14年には、カーネギーホールでのリサイタルや、同ホールでのサンフランシスコ響との共演、サントリーホールでのリサイタル・デビューを含む日本でのリサイタル・ツアーなどが予定されている。
87年北京生まれ。6歳よりピアノを始め、北京の中央音楽院でリン・ユェン、チョウ・グォアンレンに師事。99年から01年、カルガリーで夏に開催されるカナダ・中国芸術文化交流プログラム参加を機にカルガリーに移り住み、マウント・ロイヤル・カレッジ音楽院でホン・クヮン・チェンとテム・ブラックストーンに師事。02年アスペン音楽祭のコンチェルト・コンペティションにおいて15歳で優勝。その後アメリカに移り、フィラデルフィアのカーティス音楽院でゲイリー・グラフマンに師事。06年には、ギルモア・ヤング・アーティスト賞を受賞。10年には栄誉あるエイヴリー・フィッシャー・キャリア助成金を獲得している。スタインウェイ・アーティスト。
ユジャ・ワン、音楽界を席巻する25歳のピアニスト
ヴィルトゥオーソ。辞書には「卓越した技術を持つ演奏家」とある。しかし、それだけでは足りない。真のヴィルトゥオーソとは、目で追えぬほどの早業と度肝を抜くような音量で聴く者を圧倒したかと思えば、次の瞬間には極上のやわらかな音色で甘い夢に誘い、焦らすように興奮を先延ばしにし、本当のクライマックスを迎えたなら、それまで取っておいた極限の演奏技巧と大きな身振りで聴衆をカタルシスに導く――そう、どちらかと言えば聴く者の心を自在にあやつる「魔術師」に近い存在なのだ。19世紀の天才ヴァイオリニスト、パガニーニだって「悪魔に魂を売って手に入れた技巧」と評されたではないか。
ユジャ・ワンは、21世紀の聴衆の前に彗星の如くあらわれた真のヴィルトゥオーソである。最高のテクニックを駆使して鳴らされるピアノは、まったく優等生的ではない。「このテンポのまま弾き続けたらどうなるのだろう?」「どれほど魂を揺さぶられたらクライマックスを迎えるのだろう?」――私たちの憧れや期待を一身に背負い、ユジャ・ワンのピアノは己の道を突き進む。時に逆巻く怒涛の激情をもって、時に危険な甘さを湛えた官能をもって。その強烈なアウラを放つ演奏と舞台上でのカリスマ性に心を奪われたなら、「21世紀のヴィルトゥオーソ」の出現を熱狂的な喝采と賛辞で称えたい。
【出演】
ユジャ・ワン(ピアノ)
【予定される曲目】
ドビュッシー:ピアノのために
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第6番 作品62
ラヴェル:ラ・ヴァルス
ラフマノニフ:幻想的小品集 作品3から 第1曲〈悲歌〉
メンデルスゾーン(ラフマニノフ編):スケルツォ(劇音楽〈夏の夜の夢〉作品61から)
ラフマニノフ:楽興の時 作品16から 第4番 ホ短調
リーバーマン:ガーゴイル 作品29
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 作品36(1931年改訂版)
中国生まれの25歳、ユジャ・ワンは、自由奔放さ、鍛錬に裏付けされた若さ溢れる大胆な想像力、成熟したアーティストらしい精密さを兼ね備えた演奏で高く評価されている。特に完璧なコントロールと輝かしいテクニックは常に注目を集め、超絶技巧を要する作品においてその本質が発揮されるのはもちろんのこと、彼女の音楽性の深さ、新鮮な解釈と優雅さ、カリスマ的なステージ上での存在感が人々を魅了している。
ユジャはドイツ・グラモフォンと専属契約を結び、そのデビューCDとして09年春にリリースされた「ソナタ&エチュード集」は、“鮮やかなテクニックと生来の誌的な素質との融合”とグラモフォン誌で評された。このCDは同年、クラシックFMグラモフォン・アワードの年間新人賞に輝いている。また、セカンド・アルバム「トランスフォーメーション」は2011年エコー・アワードの年間新人賞を受賞した。さらに、彼女の協奏曲初収録となったクラウディオ・アバド指揮マーラー・チェンバー・オーケストラとの「ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲、ピアノ協奏曲第2番」は、グラミー賞ベスト器楽奏者部門にノミネート。最新版「ファンタジア」にはアルベニス、バッハ、ショパン、ラフマニノフ、サン=サーンス、スクリャービンなどの作品が収められている。
サンフランシスコでのリサイタル・デビューに際し、アメリカの有力紙サンフランシスコ・クロニクルは、“この中国生まれのピアニスト、ユジャ・ワンの音楽界への登場は、これまでにない進化を期待させる。彼女の演奏を実際に聴くと、聴衆がこれまで持っていた「上手いピアノとはこう弾かれる」という概念を再検討させられる。”と評し、ケネディ・センターでのリサイタル・デビューは、ワシントン・ポスト紙によって“開いた口が塞がらない”と報じられた。
05年ズッカーマン指揮ナショナル・アーツ・センター管との本格デビューを機に次々と世界の舞台に招かれ、これまでにアバド、バレンボイム、ドゥダメル、デュトワ、ガッティ、ゲルギエフ、フランク、ホーネック、インキネン、マゼール、マズア、ノリントン、パッパーノ、テミルカーノフらのもと、ボストン響、シカゴ響、クリーブランド管、ダラス響、デトロイト響、ヒューストン響、ロサンゼルス・フィル、ワシントン・ナショナル響、フィラデルフィア管、ピッツバーグ響、サンフランシスコ響、ベルリン・シュターツカペレ、中国フィル、スカラ・フィル、イスラエル・フィル、ロンドン・フィル、パリ管、スペイン国立響、N響、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、サンタ・チェチーリア管などと共演を重ねている。
06年「ブラーヴォ!ヴァイル音楽祭」でニューヨーク・フィルとの初共演を果たし、その成功を受けて翌シーズンマゼール指揮における同団の日本/韓国ツアーのソリストに指名された。08年にはマリナー指揮アカデミー室内管とアメリカ・ツアーを行い、翌年にはティルソン=トーマス指揮YouTubeシンフォニー・オーケストラとカーネギーホールで共演。近年では、ルツェルン・フェスティバルin北京でアバド指揮ルツェルン祝祭管との共演、ロイヤル・フィルとのスペインとロンドンでの公演、香港フィルとの共演など、目覚ましい活躍を広げている。
世界各地の公演や音楽祭におけるリサイタルや室内楽も高く評価されており、11年3月にはパリのサル・プレイエルにてベルリン・フィル首席奏者との共演による室内楽シリーズに出演。11年10月にはカーネギーホールでのリサイタル・デビューを果たした。
12-13年シーズンのハイライトとして、メータ指揮イスラエル・フィルとのアメリカ・ツアーや、ティルソン=トーマス指揮サンフランシスコ響との3週間に及ぶアジア・ツアー、ベルリン・フィルのブラームス・シリーズにおけるソリスト、ベルリン・フィル主催によるフィルハーモニー・ホールでのリサイタルなどがある。
14年には、カーネギーホールでのリサイタルや、同ホールでのサンフランシスコ響との共演、サントリーホールでのリサイタル・デビューを含む日本でのリサイタル・ツアーなどが予定されている。
87年北京生まれ。6歳よりピアノを始め、北京の中央音楽院でリン・ユェン、チョウ・グォアンレンに師事。99年から01年、カルガリーで夏に開催されるカナダ・中国芸術文化交流プログラム参加を機にカルガリーに移り住み、マウント・ロイヤル・カレッジ音楽院でホン・クヮン・チェンとテム・ブラックストーンに師事。02年アスペン音楽祭のコンチェルト・コンペティションにおいて15歳で優勝。その後アメリカに移り、フィラデルフィアのカーティス音楽院でゲイリー・グラフマンに師事。06年には、ギルモア・ヤング・アーティスト賞を受賞。10年には栄誉あるエイヴリー・フィッシャー・キャリア助成金を獲得している。スタインウェイ・アーティスト。