人の性格を知るには、その人が好きな音楽を知るのが一番早いと言われている。人は自分の性格や気質を投影した音楽を聞くので「音楽がその人を語る」のである。
逆に音楽がその人を、その世界の人に変えてしまうこともある。これについては以前にも書いた。
(無意識を自覚する方法。自分が何に洗脳されているか、一瞬で知る方法)
http://www.bllackz.com/2011/02/blog-post_3799.html
音楽は、今ではいつでもどこでも聞ける。だから、人々はそれが呪術的なものであると忘れがちだ。しかし、音楽は人間の心理を操ることもできる強力な洗脳装置でもある。
自分の好きな音楽を聞くと、人は知らずしてその音楽の背景にある考えに染まっていくし、逆に自分の考え方に合う音楽を集めて、考え方を強化していく。
あなたは、どんな音楽が好きだろう。
今、あなたが好んで聞いている音楽こそが、自分の人間性を語るものだから、よく聞く音楽のリストをもう一度確認した方がいいかもしれない。
好きな音楽というのはだんだん人によって偏っていく
音楽と言っても、メロディー中心に聞く人もいれば、歌詞を大事にして聞く人もいる。
あるいは、ジャンルを中心に聞く人もいれば、自分の生き様を体現している歌手やグループを中心にして聞く人もいる。
音楽の聴き方は多種多様で、しかもひとりの人が数百曲、数千曲を好きな曲として認識する。
人間の好みはひとつではないし、人間の感情もひとつではない。ひとりの人が、あるときは喜びに満ち、あるときは哀しみに暮れて、その時々に聞きたい音楽が変わる。
それでも、好きな音楽というのはだんだん人によって偏っていき、自分の好みのリストが出来上がっていく。
面白いのは、そのリストは常に流動的であり、しかも年齢と共にどんどん変わって行くことである。
(1)子供の頃の好きだった音楽
(2)思春期の頃に好きだった音楽
(3)大人になって好きになった音楽
(4)高齢になって好きになった音楽
音楽は大きく分けると、この4つの年齢層で「好きな音楽リスト」が変わって行く。
その人の思い入れや性格で、それほど明確に音楽の趣味がはっきりと分かれない人もいるだろうし、逆にくっきりと分かれる人もいるから、論理的に4分割はできないかもしれない。
しかし、平均化すると、この4分割の中で、自分の好きな音楽がゆっくりと変化すると考えるのは自然だ。
音楽も自我を投影したものになっていく
思春期の頃に聞く音楽は、実はその人の人生に最も影響を与えるものであると言われている。大雑把に言えば15歳から20歳頃に聞いた音楽だ。
思春期というのは、強烈な自我が芽生えて、自分のアイデンティティを強化する時期に当たる。
性に芽生え、社会性に芽生え、自分が何者なのかというのを無意識に模索する。
「自分が何者なのか」というのは、自分が何を好み、何を好まないのかをはっきりさせる時である。
当然、音楽も自我を投影したものになっていく。
自分の世界観に合った音楽を選び、それを繰り返し繰り返し聞くことによって、音楽の中に含まれている世界観が自分のアイデンティティと同一化していく。
だから、「思春期の頃に好きだった音楽」というのは、多くの人たちが考えている以上に重要な意味を持っている。
自分が思春期だった頃に一生懸命に聞いていた歌を思い出して欲しい。無意識に、あなたはその世界観を好んでいるはずだ。この嗜好は永遠に続く可能性がある。
ただし、思春期を過ぎてから40代に入るまでの間に、音楽の幅はどんどん広がっていき、一時的に思春期に聞いていた音楽の世界観や影響力は失っていく。
20代から30代は、人生の幅が広がると共に、受け入れる音楽も幅が広がっていくので、思春期の頃に聞いていた好きだった音楽が新しい音楽によって薄められて消えて行く。
40代を過ぎたあたりから聞く音楽が固定化
面白いと思うのは、40代以降はもう新しい音楽を貪欲に吸収していこうとする気力が失われることだ。全員がそうではないが、そういう人がどんどん増えていく。
この年代になると、新しい趣味や新しい仕事をどんどん開拓したいという意欲も失われる。むしろ「知っていること」を極めたいというスタンスに変わる。
聞く音楽もそれを反映するのか、新しい音楽を知りたいという欲求よりも、知っている音楽を聞いてほっとしたいという気持ちになっていく人が増える。
音楽を仕事にしていたり、音楽を一番の趣味にしている人は別だ。このような人は新しい音源を手に入れることが生活なので、当てはまらない。
しかし、普通の人は40代を過ぎたあたりから聞く音楽が固定化していくことが増える。
そのとき、懐かしさと共に回帰していくのが、アイデンティティを模索している時に聞いていた音楽か、もしくは感受性の強い20代に聞いていた音楽になるのである。
これはあくまでも一般論なので、誰もがそうだと言うわけではない。しかし、多くの人は10代の後半から20代あたりに聞いていた音楽に回帰して、それが「自分の音楽」になっていく。
高齢になると、さらにその中からスローテンポの音楽に移行していくと言われている。激しく、アップテンポな曲では自分の心拍数に合わないからだ。
自分の身体の条件反射や行動力が落ちると早い音楽が受け止められなくなって落ち着かなくなる。
しかし、年代を通して言えるのは、その人が好む音楽というのは間違いなく、その人の世界観を有するものであるということだ。聞いている音楽を知れば、その人が分かる。
逆に、自分がどんな人間なのか分からなくなったり、自分を見失ったら、自分が好きな音楽のリストを見つめれば、自分が見えてくる。
あなたは、どんな曲に回帰して行くだろうか?
http://www.bllackz.net/blackasia/content/20130605T0058520900.html
要するに、子供の頃からエラールやプレイエルやベーゼンドルファーを弾いてきた人でないと微妙な音色の違いが認識できないんですね。
だから同じヤマハを弾いてもフランス人と日本人とでは出せる音色が全く違ってきてしまうという事なのです。