天才作曲家、モーリス・ラヴェルの傑作ピアノ曲群。凝縮された極限の美、その全てを再現するのは、これまでラヴェル作品の理解を深めてきた才媛・三浦友理枝。2夜に渡る特別プロジェクト、ついに実現!
三浦友理枝
ラヴェル・ピアノ作品全曲演奏(全2夜)
ラヴェル・ピアノ曲全曲演奏
《第1夜》7月4日(土)17:00開演
メヌエット 嬰ハ短調
高雅で感傷的なワルツ
組曲「マ・メール・ロワ」
ソナチネ
水の戯れ
夜のガスパール
ラ・ヴァルス
一流アーティストの充実した選曲、若く才能溢れる新人たちのデビュー。
土曜の夜、フィリアホールに集う音楽の女神(ミューズ)たちの華やかなリサイタル・シリーズ。
ラヴェルは若い頃から好きな作曲家の一人ですが、ピアノ曲をまとめて取り上げる演奏会を聴くのは初めてなので、楽しみにしていたシリーズです。
今日取り上げられたのは、2007年になってやっと出版された秘曲メヌエット嬰ハ短調、高雅で感傷的なワルツ、マ・メール・ロワ、ソナチネ、水の戯れ、夜のガスパール、ラ・ヴァルス、という作品たちです。
これらの題名から想像できる通り、ラヴェルの曲は、どれもいかにもフランスの粋を感じさせる独特の魅力があり、同じく「印象派」とされるドビュッシーの作品と比べると、やや硬質な、敢えて言えば「冷たく青白い」質感の魅力です。
最初に演奏されたメヌエットは僅か24小節の短い曲ながら、ラヴェルの特徴が良く凝縮された佳品でした。
そのまま続けて「高雅で感傷的なワルツ」。その第1曲は、こんなに鋭いアタックの曲だったのか!と驚くような始まり方。
直前のメヌエットの密やかな曲調と好対照です。
8つの短い曲から編まれたこの組、各曲はテンポもリズムも強弱も様々で、これをしっかり弾き分けて聞かせてくれました。
この曲も次の「マ・メール・ロア」も、そしてトリのラ・ヴァルスも、私は管弦楽編曲版に親しんで来たので、こうしてピアノ独奏で弾かれるのはとても新鮮な感じがします。
マ・メール・ロアは子どものために書かれた曲らしい、シンプルな中にもファンタジー溢れる作品で、管弦楽版でも素敵ですが、三浦さんのピアノ独奏もなかなか良かったです。
前半最後はソナチネ。その名のとおり「小さなソナタ」。ちゃんと3楽章あって、短い中にも洗練された響きが光ります。
後半は。水の煌めきが目の当たりに感じられる「水の戯れ」で始まり、そのまま大曲「夜のガスパール」に続きました。
恐らくそう弾かれた理由は、「夜のガスパール」の1曲目が「水の精(オンディーヌ)」という詩に基づいていて、その冒頭がやはり水の煌めきを感じさせるという点で共通するからだろうと理解しました。
それにしても、この曲はいつ聴いても惚れ惚れします。
今回のプログラム冊子の曲目紹介は三浦さん自らが執筆しているのですが、この曲に関しては、詳しい説明の代わりに、副題である「アロアジウス・ベルトランによるピアノのための3つの詩」に因んで、その詩を印刷した別紙が配布され、「あれこれここで言葉を並べるより・・・是非別紙の詩を」と書かれています。
最後は「ラ・ヴァルス」。これも管弦楽版で聴き親しんでいますが、ピアノの技巧の凄いこと!
ゆったりしたテンポの曲なのに、極めて細かい音符が詰まっていて、三浦さんの両手は鍵盤の端から端までめまぐるしく動き回り、それらを矢のように目覚しく弾き続ける、といった按配ですが、そんな中にもしっかりニュアンスが込められていたのには感心するばかり。
当然、ブラヴォーの嵐と盛大な拍手がしばし止みませんでした。
それに応えてのアンコールは、もちろんラヴェルの小品で、フォーレの名による子守唄」。
9月に行なわれる第二夜が大いに楽しみです。
第251回 2015年9月26日(土)17:00
三浦友理枝ラヴェル・ピアノ作品全曲演奏(全2夜)
S¥4,000
A¥3,000
第252回 2015年11月 7日(土)17:00
仲道郁代「いつもあなたとショパン」~フィリアホールでたどるショパンの音世界 第1回 初期の名曲(全4回)
S¥5,000
A¥4,000
第253回 2015年12月 5日(土)17:00
吉野直子&オーヴェルニュ室内オーケストラ
S¥6,000
A¥5,000
第254回 2016年1月30日(土)17:00
小山実稚恵「シューベルトの想い」
S¥5,000
A¥4,000
第255回 2016年2月13日(土)17:00
神尾真由子&河村尚子デュオ・リサイタル
S¥6,000
A¥5,000